No.71 実は私、小説も書いてます❗その6 

 7月文月になりました。私のワクチン接種日が決まりました❗世間ではワクチンが足りなくなって、予約の打ち消し・・とか、「国を信じてごめんなさい。」と首長が住民に謝るとか、ワクチン接種は全く上手くいっているとは言えません。

 もちろん希望者ですが、医療従事者の接種が完了し、65歳以上の高齢者の接種が完了し、介護従事者、学校関係者の接種も進んでいるはずです。

 企業内接種などもどんどん進んでいると思っていました。なのに、なぜこんなことが今頃ニュースになるんでしょう・・。

 どこまでもアンバランスで、無計画。リーダーシップがとれてなくて、何もかも遅い・・。そんな風に思えてなりません。言いっぱなしで悪いですけど・・。

 とにかく世間の、接種したいのにできない状況の肩方には申し訳ないのですが、私はこの週末に大規模接種会場で接種を済ませてきます。

 その様子は、また次回のブログで紹介させて頂きます🙋。

 

 さて、今回も、私の小説「刹那~襟子」の世界で、つかの間の非日常を楽しんで頂けたらと思います。

 「刹那~襟子」 第二章 ホーム 

前回の続きからです。

🚃🚃🚃🚃🚃🚃🚃

 ホームにアナウンスが鳴り響いた。

「特許電車が通過します。黄色のラインまで下がってお気をつけください。」

 語尾をわずかに上げた、

いつも通りの軽快なアナウンスが聞こえ、通過のため速度を落とさない特急電車の振動と風圧が襟子の前髪をかすかに揺らし始めた。・・その時だった。

 今の今までベンチに座ってうつむいていた年配のあの男性が、恐ろしく機敏な動作で立ち上がり、目にも留まらぬ速さでホームを突っ切って駆け出し、線路に向かって飛び込んだのだった。

「あぁっ!」という、傍にいた若い男性の声を聞いたような気がしたが、一瞬遅れて駆け出したその男性は、今度は男性の服の袖しか掴めなかった。

 ガツン!という、重いものが金属に当たったような、妙に存在感のある音を残して、後は特急電車が急ブレーキをかける、胃の腑に響くような擦過音がホーム一面に響き渡った。

 線路と車輪が摩擦して飛ぶ火花を、襟子は見たような気がした。その車輪からの煙とともに焦げ臭いような匂いがホームに立ち込めた。

 と同時に、襟子はその匂いの中に、確かに生臭い大量の匂いを嗅ぎとったのだった。

 あの若い男性はすぐ傍にいた。つまり、線路に飛び込んだ男性は、襟子のすぐ傍から身を投げたのだ…。

「キャア―!」「うわぁー!」

男性の女性の、ありとあらゆる人々の悲鳴が響いた。襟子のすぐ傍にいたあの男性は、飛び込んだ男性の服だけを掴んだように思ったが、そうではなかった。解かんだ腑には中身が残っていた。失われたのは、その頭部だけだった。

 男性は、頭部がもぎ取られた頸動脈からの大量の血を、それこそ頭から被っていたのだ。全身が血だらけだった。顔も手も胸も足元まで、着ていた服は真っ赤にしか見えなかった。文字通り、bucketいっぱいの水を被ったように、彼は全身におびただしい血液を浴びていたのだ。

🌆🌇🌉🌃🌉

 人々はそれに気づいて遠巻きに後ずさったが、襟子は動くことができなかった…。あわただしく駅員が数名駆けてきて、頭部のない死体をシートでくるみ運び出した。

 他の駅員たちは、血だらけの男性に毛布を被せ、駅事務所にでも連れていくのだろうか、小声で声をかけながら、よろよろと足を引きずる彼を支えつつ去って行った。

 また何人かは、ホームで勢いよく水を流しながらホームに溜まった血の跡をデッキブラシで洗い出した。

 駅員の一人が呆然と立ちすくむ襟子の傍にやって来て声をかける。

「大丈夫ですか?顔と服に血が・・。」

その時初めて、襟子は自分も返り血を浴びていることに気づいたのだった。

 駅員は襟子をベンチに(さっきの二人が座っていたのとは別の)座らせ、真っ白いタオルを差し出した。駅員はタオルをどこかで捨てるよう襟子に言い残し、気遣いながらも慌ただしく駅事務所に走っていった。

🎇🎇🎇🌌🌌🌌

 襟子は震えが止まらなかった。タオルを持つ手が心もとないほど揺れていた。そっと顔に当てたが、かすかに赤い斑点が付いただけで、その血の量に少し安堵した。

 服や鞄も見てみたが、気になるような血の痕跡は見当たらなかった。こんな時はアドレナリンが回っているのか、妙に頭は冴え渡っていた。

(とにかく早く家に帰ろう。家に帰ってから考えよう・・。)

 何を考えようとしているのかさえ自分ではわからなかったが、襟子はスマホを取り出して夫に電話で簡単に連絡し、今いる駅までの迎えを頼んだ。

 どうしても、再度並んで電車に乗る勇気は出なかったのである。その時には、ホームは何事もなかったかのように、元の喧騒を取り戻していた。

 襟子は、死んだ男性と話し込んでいた若い男性のことを考えた。毛布にくるまれた彼の顔は色を失っていた。別人のようになってうろたえ、よろよろと去って行った彼のことを考えていた。

 一瞬のことだった。あの刹那、彼が掴んだ服の頼りなさを、彼はいつ忘れることができるのだろう。そして、もしも、もっと話ができていたら、もしも、もっと早く走り出していたら、もしも、もっと強くあの男性を引っ張ることができていたなら、もしも、もしも・・。

 そうやって、責めなくてもいい自分を責め続けるのだろうか。頭から被った大量の血の匂いを、耳に残った頭が飛ぶ瞬間のあの音を、手に残ったあの振動を、彼はいつか本当に忘れることができるのだろうか・・。

🌆🌆🌃🌃🌃

 帰宅した襟子は、慎重に服を脱ぎ、飛んだ血しぶきをわずかでも見つけると、丁寧に強力な洗剤で手洗いし、洗濯機に入れた。鞄にも靴にも、目に見える痕跡はなかったが何度も何度もアルコールで拭いた。

 それが終わると襟子はシャワーを浴びにバスルームに入る。そして勢いよく目を閉じたまま頭から水着を被った。その時だった。

💦💦💦💦💦

 

 今日はここまでにしたいと思います。間もなく第二章が終わって第三章「叙情的恋愛」に続きます。また別の非日常へともに行きましょう(笑)😊。

芹沢マリリンでした🎵

 

 

No.70 実は私、小説も書いてます❗その5

 昨日、とうとう私にもワクチン予診表が市役所から届きました!勇んでかかりつけ医に電話したところ、「ワクチン接種のご案内」というのが届いてから電話してくださいとのこと😓。

 65歳の夫の時はもっとシンプルに予約ができたらしいですが、私はそうはいかなかったようです😥。夫の場合でも予約してから、1ヵ月後の予約でしたから、私の場合はいつになるかわかりませんね😪。

 最後の頼みの綱のワクチンに人々がどれだけ期待していたかという予想もできていなかったようで、早くもワクチンは品切れ😱。

 大規模接種も企業内接種も、現在予約済み分が終了したら、しばらく中止になってしまいました。政府は、全くどこまで想像力が欠如しているんでしょう💦。

 ワクチンをうちたくても在庫がないんですからどうしようもない💦どうして早急に必要分を手にいれ供給する準備をしていなかったのでしょう⁉️

 他国に輸出するほど確保している国もあるのに、先進国であるはすの日本が、オリンピック、パラリンピックをどうしてもやるといっている日本が、なぜこんな状態なんでしょうか⁉️理解に苦しみます😥。

 今まで、医学の研究分野に国をあげて取り組んで来なかったこと、病院や保健所などの医療機関への国の援助や施作が充分でなかったことのツケでしょうか…。

 未来を展望した政策ではなく、目先の利益の追求ばかり重視してきたからでしょうか…。

 東京の新規感染者がまた微妙に増えてきています。感染力の強い変異株が次々と現れてきています…。明るい兆しの見えるニュースはいつになったら聞けるのでしょうか✨。

 

☔️☔️☔️☔️☔️☔️

 今日は夕方に豪雨になりました。雷も鳴って天候は不安定です。それでは、今回も私の小説「刹那~襟子」にしばらくお付きあいください🙋。

 第二章「ホーム」の続きです。非日常を味わっていただけたら嬉しいです😆🎵🎵。

 

 第二章 「ホーム」前回の続き

 まさかその時、そこに彼が現れようとは、予想も予感もしていなかった襟子は、始め偶然の出会いに小躍りしそうになった。襟子がストローをかむのを止めて、一口冷たいコーヒーを飲み込んだその瞬間だった。

 ラウンジに入ってきた彼と一瞬にして視線が交差したこと微笑もうと襟子の顔の筋肉が動き出す寸前に、それは凍りついたのだった。

 彼は一人ではなかった。彼の優しい左手は、いつも横にいた襟子の腰に自然に添えられていたその左手は(大学生にしては落ち着いたそういう仕草を彼はよくしていた)、隣に寄り添う、襟子も知っている同じ大学の後輩の女の子の細い腰にあった。

 彼は、襟子よりも美人で襟子よりも若く、襟子よりも可愛らしい仕草を自然とできてしまう、あざとい?彼女と二人、どこから見ても楽しそうな、幸せそうな、絵になる恋人同士の図を描いていたのだった。

 襟子が視線をそらしたのと、彼に一瞬遅れて、新しい彼女が襟子に気づくのがほぼ同時だった。実際には見ていないはずなのに、その時の彼女の鋭い視線を、襟子ははっきり感じていた。

 と同時に、彼の方を見て、言葉など要らないとばかり、黙って視線を交わす、優越感に溢れたその瞳の動きまで、襟子は見たような気がした。👀👀👀👀👀

 

 彼らは踵を返し、静かに出ていった。襟子はここが喧騒の中のざわめいた駅のラウンジであることに安堵した。薄暗い落ち着いたレストランや喫茶店だったら、自分はいたたまれなかったことだろう。

 ウェイトレスでさえ気づかないほどの短い時間に、二人はその場から消えていた。襟子の心臓は飛び出そうなほど脈打っていたが、顔も手も胸も、身体中が氷のように冷えきっていた。ただ冷たい汗だけが、その一瞬の出来事の確かな痕跡を残していた。

 

 その後、襟子は、サンダルを履き直すことも忘れ、しばらく動けずにいた。席をたって、またすぐ後にどこかで偶然会うなどという悪魔的な目には死んでも遭いたくなかった。

 しかし、襟子はすぐ後には、何日か落ち込んで泣いたりもしたが、結局彼と彼女がその後どうなったのか知らないまま、詮索することもなかった。意地だった。

 間もなく大学を卒業し、就職してからは振り返って考えたこともない。どちらも若かった。若いカップルにはよくあることだった。

 今となってはほんの少しの痛みこそあれ、その時のように、彼や彼女を憎んだりすることもない。同じラウンジに同じように一人でいても、リラックスした姿勢で居ることができるのだ。時の流れというものは、傷ついた人間にとって、本当に優しい・・。💐

 

 珍しく過去の記憶を振り返りながらも、ゆとりさえ感じられた襟子の身に、1時間後まさかそんなことが起きようとは・・。その時の襟子は、その兆しにさえ気づくはずもなかった。

 ラウンジから出た襟子は、1時間後は自宅までの最寄り駅に向かう電車のホームにいた。まだ夜と言うほど暗くはなっていないが、一様に帰宅する人たちの群れが、いくつものドアを表すラインの後ろに二列の帯をなしていた。

 土曜日の夕暮れ時でもあるので、遊び盛りの若者たちや家族連れも多く、帰宅ラッシュ時のサラリーマンばかりの整然とした無言の統率は取りきれていなかった。

 そのささやかな喧騒が、どことなく柔らかな雰囲気を醸し出してさえいたのである。

 

 快速電車がホームを通過するアナウンスが流れた。この駅には、急行は停まるが快速は停まらない。サラリーマンらしき男性が、一瞬見ていた新聞から顔を上げたが、すぐにまた紙面に目を落とした。その時だった。別の男性の声がホーム中に響いた。 

「おじさん!危ない!」

男性は、もう一人の年配の男性の左腕を掴み(掴めたのは服の袖だけだったかもしれない)、力任せにホームの奥に向かって引き戻した。

 その勢いによろけた年配の男性は、そのまま体勢を立て直せず奥のベンチに崩れるように座りこんだ・・。引き戻した若い方の男性も、その横に座る。

 たいしたざわめきが起こることもなく、周囲の乗客は何が起こったのかを瞬時に悟った。近くの人と小声で話す人もいたが、多くの人たちは無言で、見るともなく二人の男性に視線を絡めたり、その気配を背中に感じているだけだった。

 襟子も、見てはいけないものを見てしまった人のように、並んだ場所を動くことはせず、意識だけを二人の男性に集中させた。

 一目瞭然だった。ふらりと体を線路に投げ出しそうになった年配の男性を、若い方の男性が助けたのだ。線路に飛び込もうとするほどの勢いがあったわけではなかったが、ベンチにうずくまる男性の様子を見ると、やはり自殺しようとしたことに間違いはないようだ。

 危なかった。もう少しで人身事故を目の当たりにするところだった。・・というより、一人の人間が、なんの理由かわからないが、その人生に終止符を打とうとしていたのだ。すぐ近くで。

 「死」はやはり間近にあった。襟子は鼓動が早くなるのを抑えようと、肩にかけていた鞄を胸に抱え直して強く抱きしめた。

 出勤時のニュースで交通情報が流れ、

「○○線□□駅にて、人身事故のため、上下線とも現在運行を中止しています。」

という報道があると、

(誰かがまた電車に飛び込んだのね。死んだ人には悪いけど、こんな時間に迷惑だなぁ…。)

と、一人の人間の命が失われたにもかかわらず、不謹慎にもそう思ってしまう。また、

(リストラかいじめか、きっと大変なことがあったんだろうけど、なにも死ななくてもいいのに…。)

(電車を停めるとすごく多額の賠償金を払わされるらしい。残された人たちが困るだろうなぁ…。)

などと、襟子は傍観者よろしく家族と話したものだった。多くの関係のない人たちはそう思うのではないだろうか。その時の命の価値は、あまりにも軽い・・。

 

 年配の男性は、ベンチに体を折り畳むようにしてうつむいている。隣に座った若い方の男性は、何やら一生懸命小声で話しかけている。

 しかし、年配の男性は聞いているのか聞いていないのか、微動だにしない。若い男性が、ぐっと顔を近づけて必死になって諭そうとしているようにも見える。

 知り合いなのだろうか。もしも、初対面の人だとしたら、なんて思いやり深い人なのだろう。今の世の中、自分のことで精一杯が普通である。なるべくならややこしいことには関わりたくないというのが本音だ。

 襟子は自分よりも若いその男性を尊敬の面持ちで、それとなく経緯をうかがっていた。

 数分が過ぎて、襟子の前に並んでいた人たちは先に来た普通電車に乗り込み、前には誰も並んでいなかった。襟子は次の急行に乗るのだ。

 ホームにアナウンスが鳴り響いた。🚃🚃🚃🚃🚃🚃

………………………

 

 今回はここまでにします。続きは次回に。また読んでくださいね🌆🌆🌆🌆🌆 芹沢マリリンでした🎵

 

 

 

 

No.69実は私、小説も書いてます❗その4

 私にもワクチンが打てるチャンスが巡って来ました。大規模会場でワクチンが余っているらしく、希望があれば申し込んで‥ということです😲。

 私のワクチンは年末?…と思っていたので、嬉しい反面、なんかちぐはぐだなぁと思わずにいられません。接種予約券を持っている高齢者が、何時間も前から列をなして、まさしく密な状態で並んでいたあのニュースは、それほど前のことではないのに…😓。

 ワクチンが豊富にあるようになったのは喜ばしいことだと私は思いますが、もう少し計画的に進められないものでしょうか…😔。

 また、ようやく後遺症に関するニュースが頻繁に報道されるようになりました。あるニュースでは、感染者の40%以上の人に、何らかの後遺症が残っているという報道もあります!

 大変なことです。首尾よく完治?しても、長期間にわたってコロナは人を苦しめる場合もあるということです😥。更に詳しい情報を、早く流して注意を促して欲しいと思います。

 …が、五輪が終わるまでは、そういうネガティブな報道は政府としては都合が悪いのでしょうね😓。終わってからでは遅いと私は危惧していますが………。

 

 さて、今回も私の処女作「刹那~襟子」でお楽しみください(笑)。第一章「交差点」の終わりから第二章「ホーム」の始めまで、『非日常』の世界を感じて頂けたら嬉しいです🙋。

☔☔☔☔☔☔

 

 第一章 「交差点」 続き

 襟子は決然とドアノブに手をかける。その時だった。今までよりもっと激しい強風が、わずかに開いたドアから車内にものすごい勢いで吹き込んで来たのは…。

 その風圧は、車体を揺らしながらドアを付け根からその可動域よりも大きく開け放った。鈍い金属音がして、ドアは斜めにあり得ない形状に歪んだのだった。

「ご、ごめんなさい!」

襟子は震えながら謝るしかなかった。雨なのか涙なのかわからない液体が眼から溢れだした。何度も頭を下げて謝り続ける襟子に、それまで黙っていた男たちが口々に言った。

「いいから、いいから、ボロだし。」

「早く帰りな。」

その言葉を聞いて、襟子はもう一度頭を下げ、きびすを返して駆け出した。本来の寮の場所まで、少し小降りになった雨の中を後ろも見ずに走り続けた。

 寮に戻ってから襟子は何をしたのか全く覚えていない。なぜか記憶から何もかも消えてしまっているのだった…。

 

 しかし、この事件は襟子の心から消えることはなかった。「刹那だ。」一瞬の判断と状況の違いで、やはり自分は、今の自分でなかった可能性が高いと考えると、襟子は震えが止まらない。

 ほんの「刹那」が人生を変えてしまう。偶然と別の偶然のクロスした一つの点がそこにもあった。まず、なぜ自分は、見知らぬ人の車に乗ってしまったのか。幼児でもできるであろう容易な判断が、その時の自分にはなぜできなかったか…。

 車の男たちにもしも悪意があったなら、暗い神社の境内の奧で自分はどんな目に遭っていたか、想像に難くない…。車という密室に相手は若い男3人である。抗いようもなかっただろう…。・・襟子は自問自答を繰り返す。

 

 その時の襟子に恋愛の経験がなかったとは言えないが、もちろん肉体の関係はなかった。男の体に触れたこともなかった。もしも何かがあったなら、それは彼女のそれからの人生に大きな影を落としたのではないだろうか。

 立ち直れただろうか。体は大丈夫だっただろうか。本当に愛する人と出会った時、フラッシュバックに悩まされることはなかっただろうか…。

 いや、大人になった時、1人の人間として、社会や環境に適応していけただろうか…。

 その男たちは実はとても優しい人で、本当に好意で車に乗せてくれた可能性もゼロではない。しかし、今から考えると、やはりゼロではないという程度のことのように思えてくる。

 あの時、強風で車のドアが壊れたことで思いとどまったのではないかと思ってしまうのだ。それも偶然のなせる技だろうか。

 もしもあの時、車のドアが壊れなかったら、もしもあの時・・。もしも・・。雨、水しぶき、稲光、そして神社の鳥居の赤い色、強風に壊れる車のドア、その鈍い金属音・・。

 それらの記憶が時間とともに壊れるどころか、寧ろ意に反して感覚が増幅されていくのを、襟子初盆はっきりと感じていた。

 

 車の中で次から次へと封印したかった過去の記憶が念頭に引きずり出され、襟子はしばらくの間ハンドルを握ったままで動けずにいた。

 外はすっかり宵闇になったが、逆に街灯や家々の灯り店舗の灯りやネオンが瞬き、車を停車した時より明るいくらいだ。襟子はエンジンのスタートボタンを押し、方向指示器を右に倒した。

(とにかく帰ろう。危ない目に遭ったから嫌なことばかり頭に浮かぶのだ。自分は今無事なのだから、はっきり言って何も起こっていないのと同じ。いつもと同じ平穏が繰り返されるはずなのだ・・。)

襟子は必死で自分に言い聞かせ、やっとの思いで再度帰途についたのであった。🎇✨🌃🌠

 

 第二章 「ホーム」

 土曜日の出張に辟易しながらも、襟子は自分に与えられた仕事に充実感を覚えていた。五十歳にはまだ間がある。やりたい仕事に全力を傾けられるだけの時間的・物理的、そして精神的余裕も近頃は出てきた。

 襟子は前に出るタイプではない。地味な仕事をコツコツやるのが好きだった。他人からの表だった評価はなくても、ふとした時に頼りにされることは心地良かった。

 しかし、出張帰りの駅ビルは、土曜日のため人通りが多く、襟子を疲れさせるのに十分だった。

 A4版の書類画入るバッグが重い。おまけに駅に隣接したデパ地下で夕食の惣菜まで買い込んで、2つのペーパーバッグが身動きをとれなくさせていることに、少々イラついてきた自分をもて余していた。

 夫は今日は当然仕事が休みで一日中家にいると言っていた。その夫のために、彼の好物のサーモンマリネを少し多めに買い込み、秋だというのに残暑がいつまでも厳しいという気候を考えて、保冷剤を多めに入れてもらった。その袋をなるべく斜めにしないように気を付けながら歩いたことが、余計に襟子の肩だけでなく全身に負担をかけていたのである。

 

 襟子は一人でレストランにも喫茶店にもラーメン屋にだって入ることができる。専業主婦の友人には不思議がられるのだが、襟子はそのことにたいして違和感を持ったことがない。

 自立した女だと主張したいわけではないが、一人で何でもできる。たとえ「お一人様」でなくてもそれは同じです誰かに依存して生きている女とは違うという自負我あった。

 最近の自分は、自分で自分を上手くコントロールできているのではないかなと、幾分ポジティブになってきた自分に、夕闇にはまだ早い夏の終わりの夕日の眩しさが拍車をかける。

 その日も、なんのこだわりもなく当然の成り行きで、こうして駅のホームを見渡せる開放的なティーラウンジ弟一人で席を取ったのだった。

 COVID19の影響で、座席は半分しか稼働しておらず、大きな荷物を持った襟子は、隣の席にバッグとペーパーバッグを置いて、ゆったりと過ごすことができた。

 

 駅には様々な人たちが忙しそうに行き交っている。家族、友人、旅行者、学生、サラリーマン、そして恋人たち・・。

 襟子はアイスコーヒーのストローを噛みながら、人間ウォッチングをするのが好きだった。土曜日の夕方ゆえにホームには行楽帰りのハイテンションな集団が多かっが、襟子と同じく土曜出勤の会社帰りの少々疲れた男女の姿も数多く見受けられた。

 いつの間にかメイクが落ちかけている。特に暑さでため汗を拭った眉の辺りが怪しい。

 襟子バッグ身だしなみには細心の注意を払っていた。仕事柄でもあるが、いつどこで誰に会うかもわからない。何かの折りに自分の名前が出た時、見苦しい印象を与えるのは死んでも避けたいことだ?

(意外に自分は自己顕示欲が強い人間なのかもしれない…。)

 精神的に脆いところのある人間だと自覚があった襟子は、そんな風にリラックスしている自分が可愛かった。襟子は普段はけっしてしないが、スーツのボタンを外し、ブラウスの襟もはだけた。片方のパンプスも半分脱いで足の指にぶら下げた。

 

 襟子がまだ大学生の頃、仲間内の誰もが襟子と付き合っていると認めていたはずの彼が、別の女性とこのラウンジに来たところにばったり出くわしたことがある。

 丁度その時も、こんな風に靴を(その時はサンダルだったが)半分脱ぎかけていた。そんな、ふと気を許した隙を突かれたような事件だった。

 まさかその時、そこに彼が現れようとは、予想も予感もしていなかった襟子は、はじめは偶然の出会いに小躍りしそうになった。襟子がストローを噛むのをやめて、一口冷たいコーヒーを飲み込んだその瞬間だった・・。

☕️☕️☕️☕️☕️☕️

 

 今回は、この辺りにさせていただきます🙋。続きは次回のブログで是非ご覧ください💐。次回は、ショッキングな第二章のクライマックスです😆。お楽しみに👀。芹沢マリリンでした🎵

 

 

 

No.68 実は私、小説も書いてます❗その3

 6月半ばになりました。時には猛暑日にも見回れる暑い日が続いています☀️。世間ではワクチン接種がどんどん進んでいるらしいですが、私にはまだ予約券も送られて来ていません。

 コロナ禍の状況は、新規感染者数は減少してきていますが、やはり今でも誰が感染してもおかしくない状態という点では変わっていません。

 マスクが不要になったり、外食や旅行に以前のように出かけられるようになるのは、いったいいつになるのでしょう…。

 変異株も後遺症もやはり心配なので、もうしばらくは自粛生活かなぁ…と、我が身を戒めています😓うつるのもうつすのも避けたいですから…。

………🌠✨🌃🎇

 それでは、今回も私の処女作「刹那~襟子」の続きをご覧ください。

 

 第一章 「交差点」続き

 薄闇は次第に色を濃くし、パラパラと小雨が降ってきた。街の灯りはまだそれほど増えないが、アスファルトの道路に黒い跡を付けながら雨は次第に大粒になっていく。

 地面で跳ね返る雨粒の軌跡が、灯りにまだらに照らされて不協和音のようなリズムを刻む。数分の間に雨は車軸を流すような大雨となり、ワイパーではフロントグラスの雨粒を避けきれなくなった。

 前がよく見えない。地面と空気の境目が曖昧になり、車をたたく雨音がラジオの音をかき消す。近くに高校があるらしく、下校途中の女子高生が突然の雨に驚いて駆け出している。

 三人で一つの傘には入り、何がおかしいのかケラケラ笑いながら体をぶつけ合うようにはしゃいで歩く女性徒達がいる。

 片や、鞄を頭に乗せ疾走していく男子生徒もいる。急いで鞄から折り畳み傘を取り出す少女の背中に、容赦なく雨は降り続く。

 

 襟子パーカはやっと落ち着いてきた心臓の鼓動が、再び恐ろしい速さで打ち始めるのを感じ、路肩が少し広がって空き地になっているスペースを見つけると、左のバックミラーに注意を払いながら静かに車を停めた。

 丁度こんな雨の夕方だった。いや、その時は雨は今と同様でも、更に風が強かった。台風ではないが、後にゲリラ豪雨と呼ばれるような激しい雨と風の日だった。

 襟子は、高校二年、十六歳。その日の一瞬がほんの少しでも違っていたら、今の襟子は存在しなかったかもしれない。

 思い出したくないのに、忘れたままでいたいのに、あの日の光景が、激しい雨の音とともにいやが上にも襟子の脳裏に記憶を呼び覚ます。

 雨の音が籠って何処か遠くで聞こえるような車の中で、過去の記憶は逆に襟子のすぐ傍まで、地団駄を踏むような激しい足音をたてて近づいていた…。

 

 時折雷が遠くで体に響く重低音を鳴らし、横殴りの雨が地面を叩き付けていた。大雨とともに強風が足下に溜まった雨粒を噴き上げ、傘は全く用を為さない。

 頭から足の先までずぶ濡れの襟子は、寮(襟子は自宅が遠方のため、高校三年間を寮で過ごした)までのあと十五分の道のりをどうやって帰ろうかと、いまいましい湿った空気に唇を噛みしめていた。

 自宅なら車で迎えに来てももらえるし、帰宅したらシャワーも浴びることができるが、寮生にはそんな環境はなかった。そのことが、少なからず襟子の気持ちをささくれたものにしていたであろうことは否めない。

 

 雨は容赦なく襟子の体を叩き付け、夏服のカッターシャツをずぶ濡れにし、白い下着の線をそのままに露にしていた。

 その上、雨を含んだシャツは襟子の肌に張り付き、その体の線まで丁寧になぞるのだった。更に強風によって紺のプリーツスカートは押さえても押さえても、腿の上までまくれ上がり、襟子は絶望的な気持ち、寧ろどうにでもなれという投げやりな気持ちにさえなっていった…。

 何台もの車が、歩道のない道で襟子の体すれすれに通りすぎ、ブレーキは踏むが避けきれず、地面の泥水を豪快に跳ね上げていった。

……と、一台の灰色の車が襟子の傍で止まる。若い男がやっと免許を取ったばかりで、親の車か中古車で運転しているといった呈であった。

「家まで送るから乗ったら?」

と、運転していた男が助手席のドアを開けて襟子に話しかける。襟子は、見知らぬ男の運転する車に乗るわけにはいかないと警戒しながら、

「大丈夫です。『家』はすぐそこなので。」

と断った…が、雨の音でその声は掻き消されたかもしれない。

 その時、稲光とともに一段と強い雨脚が、車の中まで吹き込もうとしていた。

「私びしょ濡れなんで。車が濡れますから…。」

「早く乗らないと後ろの車が困ってるよ。」

その車が停車しているので、後ろに二、三台の車が速度を落として近づき、今まさに止まろうか追い抜こうか、躊躇うように連なろうとしていた。

「すみません…。」

襟子は、運転者と後ろの車と、稲光のあとますますきつくなった雨脚に急かされて、車の助手席に滑り込むしかなかった…。

 襟子は助手席に浅く腰かけ、濡れたスカートに一枚の木の葉がくっついているのに気づいて手に取った時、後ろの座席に更に二人の若い男が乗っていることを初めて知ったのだった…。

 

 後ろの座席の男たちは何か小声で話している。

「○○高校?」

「…はい…。」

「家はどの辺?」

「…すぐそこです…。」

濡れてもつれた髪をしきりに撫で付け、襟子は降りるタイミングを計っていた。

 悪い人たちには見えない。しかし、全く杞憂だとも言い切れない。もしも、本当に親切な人だったら、急に降りると言うと気分を害するかもしれない。

 事実、座席のシートも足下も水浸しにしてしまっているのだ。しかし、今自分は濡れたシャツを通して、下着も肌の色も露に映った姿で男三人の中にいる。それも密室の…。

 混乱した襟子の視界に、寮の近くの神社の鳥居が見えてきた。薄暗い雨闇の中にも、鳥居の朱色がちらちらと見え隠れして襟子を呼ぶ。

「あの神社の近くなんです!あの前で降ります!」

 運転者は右にウインカーを出して車を神社の境内に滑り込ませた。

「あっ!」

と声に出た時には、既に車は境内に十メートルほど入り込み、赤い鳥居の前で止まった。鬱蒼とした木立が雨を遮り、なるほど傘を差しやすい場所ではあったが、思ったより、境内の奥に入り込んでいることに襟子はうろたえた。

 道路からは距離があって、既に明滅している街の光は届かない。襟子は決然とドアノブに手をかける。その時だった…。

☂️☔☔☔️☔️☔️☔️

 

 今回はここまでにさせてください🙋。第一章は間もなくラストで、第二章「ホーム」進みます。引き続き「非日常」をお楽しみください🙆。ではまた😁

芹沢マリリンでした🎵

 

 

 

 

 

No.67 実は私、小説も書いてます❗その2

 私の小説をブログで読んでくださっている方がいらっしゃることがわかって、俄然元気が出ました❗ありがとうございます😃。

 世間ではコロナワクチンの接種が進んで、明るい未来が見え始めていると報道されていますが、私の家族はまだ誰もワクチンを打ててはおらず、自粛生活に飽き飽きしながらも、感染を回避できるよう(もはや、回避しきれるものでもありませんが)、気をつけてストレスフルな生活を続けています😓。

 皆様も、そういう生活を長い間されていると思うので、私の拙い作品をチラ見してくださることで、ちょっと異質なスパイシーな香りを感じる機会になることができたら、私にとって嬉しい限りです😌🎶。

 日常の中の『非日常』は「楽しみの素」です❗貴方にそれがひとつでもプレゼントできたらいいのですが…………。

🌊🌊🌊🌊🌊

    「刹那~『襟子』」

  第一章「交差点」の続き

 襟子が小学生の頃の夏、海水浴場の賑わいが聞こえる。地域の子ども会が何かで十数名の小学生と保護者が数名、遠浅の海水浴場に遊びに来ていた。襟子は小学4年生くらいか。

 何度も来たことのある馴染みの浜だった。天気は快晴、風もなく海水浴日和だった。海の家が二、三軒、シャワールームや脱衣所も完備されていた。

 海の中には小さな浮島があり、中学生くらいの少年たちが飛び込んで遊んでいた。何の変哲もない、ごくありふれた海の風景である。

 強いて言えば、前日の夕方から最近よくあるゲリラ豪雨が長引いていたことが少し気がかりと言えば気がかりだった。ただ、小学4年の襟子には、その影響など全く念頭にあるはずもなかったのである。

 

 襟子は水泳には自信があった。早くはないが、ゆっくり休んだり浮いた早くはないが、ゆっくり休んだり浮いたりしながら泳ぐのなら、いつまでも泳げるような気がしていた。クロールではなく平泳ぎなら、遠くの島へも行けるような気がしていた。

 だから襟子は肩のところに小さなドーナツのような浮き輪を付けているだけで泳いでいた。それはいつものことだった。波もない凪いだ浜を襟子はどんどん沖へと泳いでいった。

 もはや同級生たちは近くにはおらず、自分のペースで自分のやりたいように泳げるのが気持ち良かった。足は立たない。時折何かの拍子に海の底の砂を足の指が掻き上げたが、その感覚も間もなくなくなった。

 襟子は落ち着いていた。溺れそうになったら、上を向いてぽっかり浮かんで体力の回復を待てばいい。慌てるとむやみに暴れるから余計に体力を消耗して溺れてしまうのだ。

 小学校の中学年としては、生意気すぎるほど落ち着いている自分に満足し、もうこれでいいだろうと海岸に向けてUターンしようとした時だった。

 その感覚は、襟子の足にガンとぶつかってきた。生き物ではない。単なる流れだ。単なる潮の流れが、まるで壁のように襟子の足下をすくった。

 その影の部分だけ水の温度が違う。周りの海より流れが速いからか、思いがけず冷たい。襟子には凍るように冷たく感じられた。

 そして、その流れは、陸から沖へと海の中の急流のような速さで帯のように繋がっているのだ。波は沖から浜へと動くものだと思っていた。遠くでサーフィンをしている何人かの若者が、その自明の理と思われることを実証している。

 しかし、襟子の足下の辺りだけ、細く速く冷たい流れが、確実に反対方向へと襟子の体を運ぼうとしていた。これが多くの海難事故の原因となる離岸流であることを知ったのは随分後のことだった。

 襟子は焦った。水の中なのに額から冷たい汗が噴き出てくるのを感じた。必死に水を掻いてはいるが全く前に進まない。それどころか、どんどん陸地が遠ざかっていく。暗闇で何者かにぐいぐい背中を押されるように、否応なしに流されていく。

 襟子は流れに必死に抵抗し、むやみに手足を動かすしかなかった。激しくもがいたために体力が急激に消耗していく。声を出したいが水の中にいるのに喉がカラカラに渇いて声にならない。そのくせ容赦なく塩辛い海水が喉にゴボゴボと飛び込んでくる。

 辺りには誰もいない。遠くまで流された襟子に気づく人はいない。苦しい。死ぬかも知れない…。襟子の頭には冷たい海底に沈んでいく自分の姿がTVドラマのように浮かんでくる。

 空を掴む自分の足の下に様々な魚たちがうようよと集まってくる。大きな魚は鋭い歯を剥き出しにして今にも噛みついてきそうだ。毒のあるクラゲの長い触手、絡み付く海藻のぬるぬるした感触まで、どこまでが現実でどこからが想像なのか定かでなくなった。

 昔溺れて死んだ人が、真っ白い手で足を掴み、水底へと引きずり込むというまことしやかな言い伝えが、急に襟子の脳裏に浮かび、恐怖が絶頂になったと思われたその時だった。

 襟子の目の前に波間から赤い(その時は太陽に照らされ続け、朱色になって色褪せていたが)ブイが現れた。それは遊泳区域の限界を示すブイだった。

 遠くまで流された…と思っていたが、実際は四角い遊泳区域の端に到達していたに過ぎなかったのだ。遊泳区域を離岸流の近くに設定するはずはないが、前日の思いの外長時間に及ぶ豪雨で流れが変わったのかも知れない。

 襟子は思わず赤いブイにしがみついた。遠くから見ていた人には、ブイを引き寄せて遊んでいるとしか見えなかったであろう。ブイには、海藻がへばり付いて乾いた後の汚れやコールタールの固まりや、フジツホの死骸などがくっついていて、襟子の腕や胸を傷つけたりしたが、そんなことは何でもなかった。襟子にとっては命の綱だった。

 そこからどうやって浜まで戻れたのかはすっかり忘れてしまったが、襟子にとってその事件は、物心ついてから「死」を意識した初めての瞬間だった。死は遠いものではなかった。すぐそこにあった。

 一つ間違えば、自分は十歳やそこらで人生が変わっていたのだ。ほんの少しの偶然と別のほんの少しの偶然がクロスした小さな点に上手く命の尾が引っ掛かったに過ぎない。

 幼かった襟子はそのことがトラウマになって水泳我できなくなるようなことはなかった。しかし、大人になってもふとした時にそれは夢の中に現れた。空を掻く足、急に冷たくなる流れ、否応なく沖へ流される無為な体の動きに眠りを妨げられることが幾度もあった。死は、確かに近くに存在したのだ…。

 

 薄闇は次第に色を濃くし、ほどなくパラパラと小雨が降ってきた。

☔️☔️☔️☔️☔️

 

 第一章は、もう少し続きます。第二章は「ホーム」です。決して気持ちのいいストーリーではありませんが、『非日常』だと思ってお付き合いください(笑)😊

 まだまだビミョーな日々が続きますが、どうかご自愛くださいませ😃。 芹沢マリリンでした🎵

No.66 私、実は小説も書いてます❗

 ほぼ1ヵ月、ブロを更新できずにいました😅。生活の激変もあり、社会の遅すぎる変化もあり、ようやく次のステージに向かうことができたようです🙋。

 今までのブログでも述べたことがありますが、私はものを書くのが好きです❤️。ブログはもちろんその一つですし、実際に2冊の本📕を出版したりもしました。

 1昨年から書き始め、昨年の5月にエッセイの「おばさんの海外旅行 あるあるエピソード集」を、また7月には本職である教職のマニュアル集「(若い)先生たちへの応援BOOK」を出版しました❗🙆

 その後、小説にも手を伸ばして、今回紹介させて頂く小説を書きました!そして、かの有名な「文學界」の新人作家コンクールに応募しました🎵。

 残念ながら、いやはやもちろんというべきですが(笑)賞には届かす、世間様に知られる機会がなかったため、今回オープンにすることができるようになりました(笑)

 私の拙い作品ですが、自分なりに丹精込めて書きましたので、どうしても世間に発信したいのです。素人の小説ですが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです❗😆🎵🎵

……………………

   刹那~『襟子』

  第一章 交差点

 交差点で右折レーンに入った襟子はブレーキを踏んで車を一時停止させた。何台もの直進者が通りすぎる。いつもこの交差点は混んでいるから慣れている。

 一台のバイクが襟子の斜め後ろに付く。襟子はバックミラーとサイドミラーで素早く確認する。最近よく見かけるUber Eatsの宅配車だ。

 十台ほどの乗用車が、襟子の右サイドをかすかな振動とかすかな風圧を残して通り過ぎ、次にトラックが前方から近づいた。右折可のブルーの矢印はまだ出ない。しかし間もなくだろう。

 

 トラックは信号の変わる前にとスピードを上げて、襟子の車の横を通りすぎようとした。トラックの後ろには遠くまで車の姿は見えないから右折のチャンスだ。

 トラックが横をかすめる。襟子がブレーキペダルから足を外しアクセルに踏み換える。その瞬間だった。襟子の左側を後ろのバイクが右折しようと急発進した。

 襟子がかろうじて急ブレーキを踏む。襟子の車と同時かそれより早く右折しようとしたバイクが、トラックの後ろにいたもう一台の小型バイクに気づいた。

 小型バイクの運転手が気づいて右を見る。すかさず直進するため寧ろスピードを上げる。右折するバイクが急ブレーキを踏み、速度を落としたために不自然で奇妙な揺れ方をしたのを襟子は瞳の端で捉えた。

 その刹那、直進する小型バイクとそのバイクが、ほんの紙一重の差で交差した。小型バイクの運転者は右折するバイクの方を一瞥したように思ったが、瞬く間に視界から外れていく。

 タイヤが地面と摩擦しておこる火花を見たように思ったが、接触はしなかったと見えて、双方ともそのまま通り過ぎた。小型バイクに乗っていたのも若者だった。十代の少年だったかもしれない。

 

 それは一瞬のことだった。バイクの若者の若さゆえの無謀な行為を、またその若さゆえの反射神経で間一髪のところで回避した瞬間だった。

 どちらかが襟子なら、また襟子の車が同じように急発進していたら、間違いなく死んでいた。死んでいたのは一人?二人?いや三人かも知れない。

🎇🎇🎇🎇

 襟子は、自らの恐怖心に無理やら蓋をし、交差点をなんとか通り抜けた。早鐘のように打つ心臓の音を感じながら、それでも無意識に手足をロボットのごとく動かし、幸運にもすぐに見つかったコンビニの駐車場にかろうじて車を乗り入れることができた。

 しばらくの間、襟子は震えを抑えられなかった。襟子の脳裏には、現実とは異なる映像が次から次へとカメラのフラッシュを焚いたように断片的に現れた。

 自分の車がバイクに接触。フロントグラスが粉々に砕け散る。バイクは車のフロント部分に乗り上げ、反動でもう一台のバイクに衝突。

 バイクに乗っていた二人の若者は何メートルも先にはね飛ばされて落ちる。地面に倒れ込む。ヘルメットが割ける。若者の体はあり得ない方向に歪む。

 ガラスの破片とバイクの部品が飛び散る。二人の若者の血しぶきが白っぽいアスファルトにいく筋もの流れを作る。

 自分はダッシュボードに顔を強打しかけるがエアバッグにせき止められる。軽自動車の前部は原形を留めず大破する。

 衝撃音、悲鳴、遠くから近づく救急車のサイレン…。はね飛ばされた若者の体が地面に落ちるドスンという鈍い音まで、襟子は聞いたような気がする。

 ハンドルに頭を押し付けたままの姿勢で、襟子はしばらく動けずにいた。次第に現実が戻って来ると、そこには数分前と寸分違わぬ平穏な日常の時間が流れているのだった。

 こういう時、大抵の人は「あぁ良かった、事故にならなくて本当に良かった…。」と胸を撫で下ろすのだろう。しかし、襟子は違った。

 …一瞬なのだ。ほんの刹那の出来事なのだ。しかし、そのほんの何十分の一秒かの違いで、人生は大きく変わってしまう。いや、その人生そのものがなくなってしまうこともあるのだ。

 襟子は恐ろしかった。恐ろしくてたまらなかった。自分は、いや人間は、いつ死ぬかもわからない。次の瞬間に何が起こるかさえわからないのだ。事故が稀有な出来事なのではなくて、今生きていることこそが、寧ろ稀有なことなのではないだろうか……。

 

 襟子は精神に破綻がきている病人ではない。鬱でもない。ごく平凡な四十代の既婚者である。仕事もしている。特に心配ごとがあるとかネガティブ志向の人間でもない。

 しかし、ふとした時に、襟子の心に「刹那」の二文字が影を落とすのである。全ては一瞬によって決まる。良くも悪くも…。

 少しずつ落ち着いてきた襟子は、とにかく帰宅するためにエンジンをスタートさせた。薄闇が迫る時刻だ。街にはちらほらと灯りも点り始めた。平静を装いながら襟子は車を走らせる。

 こんなことが、今までの人生の中に幾度かあった。一瞬の判断や状況の違いで人生が変わるようなことが…。あまりに平和な街の灯りの中を帰宅の途につきながら、割れてはいないフロントグラスに映っては後ろへ流れる夕暮れの景色に、遠い昔の光景が二重写しのように重なって見えてくるのだった……。

🌄🌇🌃🎇🎇🎇

 

 襟子が小学生の頃の夏、海水浴場の賑わいが聞こえる。…………………………

 

✨🌠今回はここまでにして、続きは次回に回したいと思います。私の小説「刹那~『襟子』」は第四章「濃厚接触」まで、まだまだ続きます。是非、続きも読んでくださいね❗

 昨年9月末にコンクールに出品してから8ヶ月。読み返すこともなく本棚の片隅の箱に入れたままにしてあった原稿を、改めてブログにするために読んでみました🙋。

 自分の書いたものは自分の分身のようなもの。愛おしいです😌💓 芹沢マリリンでした🎵

 

No.65 外に出たいストレスと付き合う……💧

 また一週間以上、発信が空いてしまいました😅 言い訳すると、あまりにも報道に変化がないからです💦

 私の住んでいる所の緊急事態宣言が、5月末まで延長されても、新規感染者数が7千人をゆうに超えて過去最高になっても、ニュース番組の報道時間が長くなるわけでもなく、新聞紙面を占める割合が増えるわけでもなく……というふうに思うんですが、違いますか?😓

 これ、凄いことですよね💦前から言っているように、変異株と後遺症にはもっと注意するべきでしたね、政府として❗

 菅総理が「変異株の脅威は予想してなかった」と記者の前で発言して失笑をかっていましたね💦びっくりです😱

 

 医療従事者のワクチン接種は、まだ2割だそうです😰 ごめんなさい、私はもう終わっていると思っていました💦

 アメリカ合衆国では、国民全体の5割に迫る接種率で、ワクチンに否定的な人にも打って貰おうと、美術館や野球の試合の鑑賞券をプレゼントにつけてまで、接種率を上げようとしているのに、全く我が国の対策は遅すぎます💥

 屋外ではマスクなしOKになり、ストレスフルな生活から脱しかけている明るい雰囲気のライブ映像を、垂涎の思いで見るしかないのが、日本の現状です💦

 まず、アメリカ合衆国ではワクチン接種の予約が不要❗一瓶10人分の半端な余りは、近所や知人に連絡して打って貰い、ロスが出ないようにしているそうです😃

 薬局でも予約なしで接種でき、買い物のついでにワクチン接種❗……少し前の「いつでもどこでも何度でもPCR検査」と似てますね☺️

 やる気になればここまでできるんです!感染者、死者が世界一多いアメリカの今の状況です🌈

 

 それに比べて、我が国日本はというと、素人のおばさんである私にも次のようなことぐらいは言えます!

◆大勢の優秀な研究者がいるにもかかわらず、以前から自国のワクチン開発に消極的で(副作用事故の裁判で負け続けたことが原因だと言われていますが)、研究費用の援助をほとんど行っておらず、他国頼みだった。

 このような世界的パンデミックの発生を考慮に入れておらず、危機管理に欠けているとしか言えない。

◆国立の病院を増やすことを重要視せず、保健所の統廃合を進めるなど、長年の医療行政の脆弱さの弊害が、今回の未曾有の医療危機にあたって露呈した。

◆第一次だけでなく、第二次、第三次の緊急事態の分析が充分に行われておらず、少なくても医療環境とPCR検査の拡充について、ほとんど改善が見られず、同じ過ちを繰り返している。

◆新しく起こってきた変異株、後遺症への研究と対策が後手に回って、効果を上げているように見えない。

◆海外からの変異株の流入を防ぐ、いわゆる水際作戦も後手に回っている。

◆休業要請などへの補償が充分でなく、政府関係者の不祥事も相次いで、政府の政策への信頼感がなくなってきている。

◆ワクチンの接種を含め、有効利用ができていない。

◆五輪への取り組みとの両立がかなり難しい。

 

……まだあると思いますが、5分あればこれぐらいのことは普通の人にも書けるのです。

 このじれったさが、コロナストレスの一部になっていると私は思うのです💧。

…………………………

 さて、そのストレスとうまく付き合っていかなければなりません💦 仕事が休みの日にお出かけするのが、私にとっては一番簡単なのですが、今はそれができません💦

 本来の私の趣味は次の3つでした。

1,海外旅行

2,映画鑑賞

3,読書

 それを効率よく実行するために、計画を立て、やるべきことをやり、時間を有効に使ってきました。

 ところが、1は、いつ再開できるかわからず、2は、ときどき不可能になります😓

 そのため、初めての緊急事態宣言から約1年半、そのストレスとの付き合い方をいろいろ試してきました。

 そんな悠長なことをやってる場合か……と叱られそうですが、私は私なりに様々大変な状況の中で、自分を守り精神の安寧を保ってきたつもりなので、怒らずに読み進めて貰えたらありがたいです😅

 私がやってきたことは次のように変わりました!

1,読書をする

2,本📕を書く

3,英会話を勉強する

4,断捨離をする

5,欧米のサスペンスドラマを観る

6,YouTubeを観る

7,ブログを書く

 

 「1,読書をする」については、以前ブログにも書きましたが、私は『作家ローラー読み』です!つまり、好きだと思った作家の本📕を片っ端から読むのです!

 この1年は松本清張に凝っていました❗十冊以上読みましたが、ここ十年で一番好きな本📕ができました❗それはブログにも書いた「砂漠の塩」です😆🎵

 二回続けて読んだ本📕は珍しいです!映画化してほしい!絶対観ます❗ヒット間違いなしです😆

 

 「2,本📕を書く」については、この2019年からの1年で2冊出版しました🎶

 趣味の旅行記『おばさんの海外旅行~あるあるエピソード集』(昨年5月発刊)と、38年間の教師生活のまとめ『(若い)先生たちへの応援BOOK』(昨年7月発刊)です🎶 好評発売中です(笑)🎶

 もう1つ、昨年9月末に文學界新人賞に初めての小説を書いて応募しました❗残念ながら賞は貰えませんでしたが、今までのエッセイと違った小説を書くのも、本当に楽しかったです‼️

 次回のブログから少しずつ紹介していこうかと思います🙋 タイトルは『刹那~襟子』です。自分では、とっても気に入ってます😆🎶

 

 「3,英会話を勉強する」については、これもブログに書きましたが、「スピードラーニング」は一昨年にやり切り、その後始めた「NHKラジオ英会話」を1年と4ヵ月続けています🙋

 発音は上手になったと自画自賛❗外国人と話すことに怖さはありません(笑)❗……が、単語力が決定的に不足(学生時代の不勉強が祟って)😭  自分の思いを伝えるにはまだまだというところです(笑)😅

 ただ英会話の勉強は本当に楽しい😆💕勉強が楽しいなんて、凄いことですよね😁🎶

 大好きな欧米のサスペンスドラマもサブタイトル(字幕)で観る方が楽しいのです❗こんな気持ち初めて😄

 

 「4,断捨離をする」については、一昨年から三回も大きいのをやりました❗捨てまくりました❗ゴミの収集をしてくださる方々には大変申し訳なく思っています😅。

 いよいよ懸案の部屋のリフォームにもかかります❗

必要なものだけで生活することの楽しさを知ってしまいました(笑)‼️

 

 「5,欧米のサスペンスドラマを観る」については、最近CSで「クリミナルマインドウィーク」をやっていました!一番好きなドラマです❗

 GWは毎日それを観まくりました❗またずっとAXNでは「CSI科学捜査班」を放映しています!いいドラマのファンは多いのでしょう😃 録画した分がまだ20時間以上残っているので、しばらく楽しめます(笑)❗

 

 「6,YouTubeを観る」については、最近趣味に加わりました!最近、地上波が本当に面白くないのです💦そう思いませんか?

 BSも今1つです。CSもダメな時は、YouTubeということになるわけです!

 今は行けない海外の風景や世界遺産は頻繁に観ています❗スマホより大きなTV画面で観ると更に面白いです❗

 あと、外国人の音楽PVや映画も観ます!一番最近検索して観たのは「ロイロノートの使い方」です😃

 

 そして最後に「7,ブログを書く」に至るわけです。1から6のまとめが「7,ブログを書く」であるわけです。

 こうして自分の思ったことを発信する……それによって考えがより深まる……というオマケもついてきます😃

やはり、私は文章を書くのが好きなのでしょう😊 

 好きなことをするとき、一番ストレスと上手く付き合っていると言える気がします、私は……。皆様お身体大切に❗ 芹沢マリリンでした🎵