No.41松本清張って凄い❗「砂漠の塩」を読む その3

 それにしても、昨日の「麒麟がくる」面白かったですね😃。私は、「本能寺」が近づいて来ているからか、とても緊迫感があったように思います。

 以前ブログNo.24、25「麒麟がくる 大河ドラマの魅力❗」で述べたように、私はNHK大河ドラマ麒麟がくる」のファンです❤️。

 昨日の回では、光秀VS秀吉、光秀VS信長、光秀VS帝という、三者との腹の探り合いがあり、それぞれの思惑が錯綜して、実に興味深かったです❗

 更に、黒澤和子さんデザインの長谷川博己さんの衣装の素晴らしいこと💙(私はそういうところも注目しているので。彼女のデザインした男性の衣装は本当に素敵❗)。

 特に、信長と相対するときの、袖と袴の色が対角線になっている衣装は本当に素敵❗(右袖と左袴、左袖と右袴のそれぞれが同じ色です。見ましたか⁉️)

 そういう奇抜なデザインだから、色合いは渋く抑えてあって、それを上背のある長谷川さんが見事に颯爽と着こなしておられて惚れ惚れ‼️

 「本能寺」がどう描かれているのか、本当に楽しみです🙋。

 

 さて、今日も新聞記事のスクラップから見る社会情勢から始めたいと思います。

 昨日のニュースで、USAのニューヨークの医療体制について放送がありました。知事は有名なクオモさんです。1次の流行の時も、彼の迅速な対処とリーダーシップでニューヨークのコロナは押さえ込めました。

 そしてこの間、USA全体の感染者急増の中で、同様に感染者が増えてきたニューヨークですが、なんと医療崩壊は起きず、通常の医療はもちろんのこと、緊急の病床確保も十分だということなんです。

 その理由は、前回の波が去った後、次の波が来るまでの少し余裕のあった期間に、徹底して環境整備をしたんだそうです。ベッドやエクモなどの設備だけでなく、医師、看護師などの人員確保も同様にです。

 私は、日本のようにもともとの基本の医療が充実していて、欧米に比べれば感染者数も大幅に少ないのに、なんでこれくらいの感染者数で医療崩壊が起きるんだろうとずっと疑問に思っていました。

 その答えのひとつを見たように思います。今日から始まる通常国会で、急速下降した内閣支持率を上げられるような論議と迅速な実践を期待したいと思います……。

 

 昨日は、あの「阪神淡路大震災」から26年目の日でした。災害時のコロナ対策も併せて、より効果的な方法を事前に考えなければならない1年になるのでしょう。

 課題は山積みですが、新聞記事やニュースを見ると、それぞれの専門分野で着々と研究が進んでいるようです❗

 

 新聞記事の記号は、次の内容を見分けやすくするためにつけています。

⭕コロナ関連

▲文化関連

🔵政治情勢

●外電

・その他

1月17日

●米が臨界前核実験 昨年11月トランプ政権3回目

米朝韓 新型弾道ミサイル 西日本の一部射程か 日米韓当局分断進める

⭕🔵社説 阪神大震災26年 コロナ禍の地震対策急げ

・翻弄される受験生 初の大学入試共通テスト 英検活用取り止め、コロナ追い打ち 二次試験も形式変更の恐れ

⭕コロナ指標「ステージ4」 12都府県4項目以上該当 宣言外の熊本、沖縄も

⭕自宅療養 全国3万人超

⭕緊急事態追加の観光地 初の週末人影まばら 土産物店「毎日ストレス」

⭕新たに7014人感染 重症者965人最多

⭕●世界の死者 200万人超す 米国40万人 ブラジル20万人 インド15万人 メキシコ13万人 英国9万人

 

1月18日

阪神淡路大震災26年 「自分は生かされた」 全ての人に感謝 経験伝える使命

・共通テスト第1日目日程終了 平均点20日中間発表 「コロナより、まず合格」

・ニュース早わかり 携帯値下げ 容量20ギガに割安新プラン

🔵五輪中止可能性 加藤官房長官が否定

⭕🔵与野党、コロナ論戦激化へ 通常国会今日召集

⭕コロナ特措法改正案 罰則導入逆効果か 入院拒否に1年以下の懲役 検査回避や陽性隠す恐れ

識者「私権制限 冷静議論を」

首都圏の保健所長「急増する感染者を受け入れる病床がなくなる不安の方が大きい」

⭕コロナワクチン 接種後に感染 症例集約 厚労相方針 効果分析に活用

クラスター発生 3987件 国内感染1年 飲食店が最多

⭕●きずな育むイタリア地元紙 生きた証し伝え抜く

「全ての人に物語がある」お悔やみ欄が、13ページに及んだ2020年3月26日付の「エコ・ディ・ベルガモ」の紙面

❇️上のイタリア地元紙の記事の編集後記に心打たれる記述がありましたので紹介します🙋。

 編集後記 『欧州に届いた風の電話』⤵️

【エコ・ディ・ベルガモ紙は新型コロナウイルス危機下、地域の連帯感を高めようと、赤いハートを描いた旗を作り、10万枚配布した。インターネットには特設ページを立ち上げ、コロナで亡くなった人々を写真付きで紹介し続けている。見舞いもできず、遺体との対面すら許されなかった家族が、天国の大切な人と対話できればと、書き込みもできるようにしたところ、1万件以上のメッセージが寄せられた。

 社長のマッシモ・チンチェーラは「東日本大震災の遺族が犠牲者に思いを伝えるために設置された電話ボックス『風の電話』からヒントをもらった」と明かす。日本からの報道がイタリアにも届いていたのだと知り、胸が熱くなった。】

 

 では、今回最終回のはずのテーマに移ります。

 骨子は次の通りです。

1,松本清張ってどんな人⁉️→済み

2,「砂漠の塩」って、どんな小説⁉️→済み

3,「砂漠の塩」って、どうしてこんなに面白い⁉️

→前半部分については済み

4,「砂漠の塩」をもしもテレビドラマにしたら⁉️

→前半部分については済み

………………

3,「砂漠の塩」って、どうしてこんなに面白い⁉️

の続き

🔷松本清張の文章が凄い❗の後半の紹介をします。

 「ダマスカスへの道 2から」⤵️

【いわゆる名所の見物は心をそそらなかった。日本に帰れる旅ではない。何を記念にしようというのか。そんな気持ちで泰子はベイルートでの見物を断ったのだが、今は少しずつ気持ちが変わってきていた。せめて生きている間だけは真吉といっしょにいろいろな所を眼におさめていたいのである。この旅が無目的であればあるほど、現在の瞬間を愉しいものに富ませたくなった。】🏜️

 

 「エデンの東 3より」⤵️

【それには、やはり保雄の善良さが立ちはだかっていた。これが泰子にいつも真吉の手を振りはなさせた。

 矛盾は自分でもわかりきっていた。しかし、考えてみれば、泰子をこの状態にさせたのは、ほかならぬ保雄の善良さにあった。これが結婚後の彼女の心を退廃させた。若いときに知った真吉への憧憬だけが残っていた。保雄の善良さが、泰子にこうした荒廃をもたらしたことでは、一種の悪魔であった。そして、その悪魔は同時に神であった。砂漠の神だけでなく、あらゆる神は正反対の面を持っている。】🏜️ 

 

【彼との間につながっている細い細い糸がまだ切れずにいる。風にあおられると揺らいで切れそうな、心細い糸だったが、とにかくまだそれはつながっていた。不思議な安心が、その糸のつながっていることで泰子に保たれていた。今夜もとにかく、その糸を切らずに済んだという安らぎだった。】🏜️

 

【「望んでいるかもしれませんわ」⤵️

 言ってしまった瞬間、泰子は細々とつながっている夫との糸が切断されたと思った。切れた糸の両端は二つの白い筋に光って、その中間に真黒な闇があった。】✨

 

 「事故 2より」⤵️

【……もし、妻と真吉とがダマスカスに行ったとすると、ここの通関記録にその名前が残されているはずだった。保雄は出来るなら、その記録を見せてもらいたかった。自由に言葉が話せたら、それが頼める。

 だが、彼はそれを諦めたことで、かえって気持ちが落ち着いた。両人の名前を記録の上で発見するのが幸運とは言えない。まざまざとその文字を眼に入れたときの感情の方を恐れた。】💦

 

【「自分が探しているのはノギ・ヤスコという女性である。彼女は自分の妹だ。……ここに泊まっているのか?」

 この返事を得て、事務員は帳簿を保雄に突きつけた。

 二行に書かれた二人の名前だった。瞬間、この署名は保雄の眼から脳天を突き抜けて白い線になった。その線は鋭い刃を持ち、保雄が強いてつくっていたぼんやりした希望の絵画を切り裂き、その下から荒々しいキャンバスの地を容赦なくむき出した。突然、心臓が激しく高鳴りはじめ、耳鳴りがした。】💥

 

🔷「砂漠の塩」紀行

 彼らの旅を追体験しながら、印象に残った場所を、その歴史などと絡めながら紹介したいと思います。評論文のように常体で書かせてもらいます。

★エジプト カイロ 「エルハイユーム」

 ここには『死者の町』と呼ばれる墓の集落がある。1960年代、富めるものは家と同じような大きさの墓所を造るのだ。そして、その墓守りは、墓の半分ほどの大きさの家も持ちようのない貧民窟の民だった。🌵

 本文からの引用⤵️

【古い習慣と言うだけでは片付けられないような気がするんです。そして占いが凶と出ても、それはアッラーの神の思し召しだと諦めるんです。農民の生活も砂漠の旅と同じですわ。諦めを宗教にしないと、1日だって生きてゆかれないでしょう。砂漠では人力がいかに儚いかを思い知らされます。そこでは諦めと祈りしか人間の身体には残らなくなります。】🐪

 

レバノン 「シュトラ」

 中東の三叉路にある遺跡の街である。西へ行けばレバノンベイルート、東はシリアのダマスカス、北はシリアのアレッポ、そこは、トルコとのボーダーである。

 遺跡の名は「バールベック」。本文を参照します。泰子が、ここだけは見てみたいと言った遺跡です。🏜️

 本文からの引用⤵️

【廃墟の美は滅亡につながるから純粋なのか。泰子は、見渡す限りの荘厳な廃址の中で身が震えるような歓びに浸った。】

 

★シリア ダマスカス 「エデンの東

 旧約聖書に出てくる「エデンの園」、そして映画のタイトルで有名な「エデンの東」の現場がここにある。どうしても「エデンの東」と言えば、上目遣いのナイスガイ、ジェームス・ディーンを思い出してしまう。

 父親の愛を欲しただけなのに、切なくも悲しい運命に翻弄されるカインとアベル兄弟。その舞台が、まさしくこの地である。🏜️

 本文からの引用⤵️

【四十分ばかりで彼らは砂漠の波打際に出た。緑色が陸地で、茶褐色の果てしない砂漠が海だった。荒涼とした風景だけに泰子も真吉も息を呑んで向いていた。この砂漠を知らないではエデンの園はわからない。人跡を絶った砂漠の果てに青い空が落ちていた。

 その中を一本の鉛色の道が真直ぐ果ての一点に消えている。カイロの郊外で見たより、もっと凄絶な光景だった。】🌠

 

 

4,「砂漠の塩」をもしもテレビドラマにしたら⁉️

の続き

第1回『逃避行』→前回で済み

第2回『再会』→前回で済み

第3回『死者の町』→前回で済み

 

第4回『巡礼』

 カイロ→ベイルートレバノン)→シュトラ(三叉路の町)バールベックの遺跡「廃墟の美」→ボーダーにて(遊牧民シュワージャと武装遊牧民ベドウィン)→

ダマスカス(シリア)日本人の獣医と出会う→初めての交合🌠

 

第5回『エデンの東

 ダマスカス「エデンの園」→砂漠の波打際「エデンの東」→銃声→若い2人の死(スペイン人の男性とアラビア人の女性のカップルだった。男性はキリスト教徒、女性はイスラム教徒で既婚者、女性の夫が男性を撃ち、身を投げ出して庇った女性も血の海で死ぬ。)→シリア最後の夜のダンス✨

 

第6回『発覚』

 バグダッドイラク)へ砂漠行→長距離バスで向かう途中、真吉が病気で倒れる💥

(東京ー妙子の思い・保雄の決意)

 本文からの引用⤵️

【通行人が、銀行の玄関の石段に頭を抱えて座っている彼を、じろじろと見て通った。だれも乞食とは思わない。ちゃんとした身装の紳士なのである。急病人と取るのが自然であった。実際、気遣わしげに、どうしたのですか、と近づいてくる人もいた。

 いや、何でもないんです、ありがとう、と保雄は立ち上がって歩いた。あたりの風景に遠近感も立体感もなかった。彼の傍で車の警笛が何度かなった。 

 保雄は、このことを周囲のだれにも話すまいと決心した。それは、長い間考えた果てであった。

 彼は、泰子と真吉がもう二度と日本に戻ることはあるまいと判断した。所持金からいって、そう長い生活はできないはずだった。その後に何がくるのか。

 ここに考えが至ったとき、彼はとる道を決めた。その夜はほとんど一睡もできなかった。】✨

 

第7回『並んだ名前』

 バグダッドへの夜行バス(真吉の急病)……(東京ー保雄が妙子と会う→保雄の決意)

 保雄→羽田→香港→バンコク(タイ)→ニューデリー(インド)→テヘラン(イラン)→アテネギリシャ)→カイロ(UAE)→ベイルートレバノン)→ダマスカス(シリア)→飛行機で追いかけるためにベイルートに引き返す→事故💥

 

第8回『虚無』

 重病の真吉のために医師を呼びに往復7時間かけて泰子ひとりでバグダッドへ→九死に一生→真吉が、砂漠の虚無に取り込まれる→追ってきた保雄が事故に遭ったことを知る

 本文からの引用⤵️

【真吉をいら立たせているのは砂漠のせいだけではなかった。ほんとうは逃亡による疲労であった。砂漠の褐色と熱気が、彼を疲労と怠惰に追い込んでいた。……

 泰子は恐ろしくなった。このままでは真吉と自分とがばらばらになりそうだった。湿潤な沃土を太陽が泥と砂に変えたように、二人の愛情が涸れてゆくような気がした。古代の都市がこの砂漠の下に埋もれているように、愛情が砂まみれになるようであった。一方では、この砂の地帯を倒れるまで歩く無意識的な、一種の疲労の心地よさの状態でもあった。】🌠

 

第9回『砂漠の森』

 深夜、ルトバの人たちと別れ砂漠へ→服薬

イラン・イラク地質調査隊のカナット調査隊が発見⁉️

→保雄の孤独な病床→再び「砂漠の森」へ

 

 もしかしたら、この「砂漠の森」を読んでみようと思われる方が、おられるかもしれません。ゆえに、ラストの章に関してはネタバレするに忍びなく、この表現が精一杯です。

 ただ、言えるとすれば、最後の一行まで気の休まるところのない展開だったということです。次のページを早くめくりたいような、めくるのが怖いような、そんな気持ちで、胸の鼓動が早鐘のように打ちました。

 なんともやりきれないラストの展開に、私は久しぶりに涙をこらえることができませんでした…。

 

 小説を読むとき、あまりに心惹かれる本📘だと、読み終わるのが残念でならず、途中で他の本📚を読んでみたり、他のことをしたりして、読み終える時間を先送りすることがあります。

 この本📘は、まさしくそういう存在でした!松本清張の本📚は、まぁまぁたくさん読んだ方で、この「砂漠の塩」という本📘は、何気なく偶然書店で手に取ったものです。

 以前、ブログNo.14~16「私の読書は作家ローラー読み❗」で述べたように、私の読書は好きな作家の本📘を片っ端から読んでいく方法をとっています。

 今は、何度目かの「松本清張シーズン」なのです!

彼の本📘は膨大にあるので、読み尽くすにはまだ時間がかかりますが、今はそれが楽しみです❗

 この「砂漠の塩」は、今現在の私が読んだ小説の中でベスト1です‼️ある日偶然この本📘を手に取ったという事実は、本当に奇跡です🎵なんて素晴らしい偶然の賜物でしょうか😭。

 本📘って素敵❗世界が変わります❗私はこれからも、次の奇跡の出会いを求めて書店に通うことでしょう🙋。……でもまず、もう一度、この「砂漠の塩」を読み返して、松本清張の美文を味わい直したいと思っています😃。

 実は、私はまだ、なぜタイトルが「砂漠の塩」なのかを、捉えられていないのです(笑)😓。

 

 皆様にも素敵な本📚との出会いがありますように❗🌈 芹沢マリリンでした🎵