No.69実は私、小説も書いてます❗その4

 私にもワクチンが打てるチャンスが巡って来ました。大規模会場でワクチンが余っているらしく、希望があれば申し込んで‥ということです😲。

 私のワクチンは年末?…と思っていたので、嬉しい反面、なんかちぐはぐだなぁと思わずにいられません。接種予約券を持っている高齢者が、何時間も前から列をなして、まさしく密な状態で並んでいたあのニュースは、それほど前のことではないのに…😓。

 ワクチンが豊富にあるようになったのは喜ばしいことだと私は思いますが、もう少し計画的に進められないものでしょうか…😔。

 また、ようやく後遺症に関するニュースが頻繁に報道されるようになりました。あるニュースでは、感染者の40%以上の人に、何らかの後遺症が残っているという報道もあります!

 大変なことです。首尾よく完治?しても、長期間にわたってコロナは人を苦しめる場合もあるということです😥。更に詳しい情報を、早く流して注意を促して欲しいと思います。

 …が、五輪が終わるまでは、そういうネガティブな報道は政府としては都合が悪いのでしょうね😓。終わってからでは遅いと私は危惧していますが………。

 

 さて、今回も私の処女作「刹那~襟子」でお楽しみください(笑)。第一章「交差点」の終わりから第二章「ホーム」の始めまで、『非日常』の世界を感じて頂けたら嬉しいです🙋。

☔☔☔☔☔☔

 

 第一章 「交差点」 続き

 襟子は決然とドアノブに手をかける。その時だった。今までよりもっと激しい強風が、わずかに開いたドアから車内にものすごい勢いで吹き込んで来たのは…。

 その風圧は、車体を揺らしながらドアを付け根からその可動域よりも大きく開け放った。鈍い金属音がして、ドアは斜めにあり得ない形状に歪んだのだった。

「ご、ごめんなさい!」

襟子は震えながら謝るしかなかった。雨なのか涙なのかわからない液体が眼から溢れだした。何度も頭を下げて謝り続ける襟子に、それまで黙っていた男たちが口々に言った。

「いいから、いいから、ボロだし。」

「早く帰りな。」

その言葉を聞いて、襟子はもう一度頭を下げ、きびすを返して駆け出した。本来の寮の場所まで、少し小降りになった雨の中を後ろも見ずに走り続けた。

 寮に戻ってから襟子は何をしたのか全く覚えていない。なぜか記憶から何もかも消えてしまっているのだった…。

 

 しかし、この事件は襟子の心から消えることはなかった。「刹那だ。」一瞬の判断と状況の違いで、やはり自分は、今の自分でなかった可能性が高いと考えると、襟子は震えが止まらない。

 ほんの「刹那」が人生を変えてしまう。偶然と別の偶然のクロスした一つの点がそこにもあった。まず、なぜ自分は、見知らぬ人の車に乗ってしまったのか。幼児でもできるであろう容易な判断が、その時の自分にはなぜできなかったか…。

 車の男たちにもしも悪意があったなら、暗い神社の境内の奧で自分はどんな目に遭っていたか、想像に難くない…。車という密室に相手は若い男3人である。抗いようもなかっただろう…。・・襟子は自問自答を繰り返す。

 

 その時の襟子に恋愛の経験がなかったとは言えないが、もちろん肉体の関係はなかった。男の体に触れたこともなかった。もしも何かがあったなら、それは彼女のそれからの人生に大きな影を落としたのではないだろうか。

 立ち直れただろうか。体は大丈夫だっただろうか。本当に愛する人と出会った時、フラッシュバックに悩まされることはなかっただろうか…。

 いや、大人になった時、1人の人間として、社会や環境に適応していけただろうか…。

 その男たちは実はとても優しい人で、本当に好意で車に乗せてくれた可能性もゼロではない。しかし、今から考えると、やはりゼロではないという程度のことのように思えてくる。

 あの時、強風で車のドアが壊れたことで思いとどまったのではないかと思ってしまうのだ。それも偶然のなせる技だろうか。

 もしもあの時、車のドアが壊れなかったら、もしもあの時・・。もしも・・。雨、水しぶき、稲光、そして神社の鳥居の赤い色、強風に壊れる車のドア、その鈍い金属音・・。

 それらの記憶が時間とともに壊れるどころか、寧ろ意に反して感覚が増幅されていくのを、襟子初盆はっきりと感じていた。

 

 車の中で次から次へと封印したかった過去の記憶が念頭に引きずり出され、襟子はしばらくの間ハンドルを握ったままで動けずにいた。

 外はすっかり宵闇になったが、逆に街灯や家々の灯り店舗の灯りやネオンが瞬き、車を停車した時より明るいくらいだ。襟子はエンジンのスタートボタンを押し、方向指示器を右に倒した。

(とにかく帰ろう。危ない目に遭ったから嫌なことばかり頭に浮かぶのだ。自分は今無事なのだから、はっきり言って何も起こっていないのと同じ。いつもと同じ平穏が繰り返されるはずなのだ・・。)

襟子は必死で自分に言い聞かせ、やっとの思いで再度帰途についたのであった。🎇✨🌃🌠

 

 第二章 「ホーム」

 土曜日の出張に辟易しながらも、襟子は自分に与えられた仕事に充実感を覚えていた。五十歳にはまだ間がある。やりたい仕事に全力を傾けられるだけの時間的・物理的、そして精神的余裕も近頃は出てきた。

 襟子は前に出るタイプではない。地味な仕事をコツコツやるのが好きだった。他人からの表だった評価はなくても、ふとした時に頼りにされることは心地良かった。

 しかし、出張帰りの駅ビルは、土曜日のため人通りが多く、襟子を疲れさせるのに十分だった。

 A4版の書類画入るバッグが重い。おまけに駅に隣接したデパ地下で夕食の惣菜まで買い込んで、2つのペーパーバッグが身動きをとれなくさせていることに、少々イラついてきた自分をもて余していた。

 夫は今日は当然仕事が休みで一日中家にいると言っていた。その夫のために、彼の好物のサーモンマリネを少し多めに買い込み、秋だというのに残暑がいつまでも厳しいという気候を考えて、保冷剤を多めに入れてもらった。その袋をなるべく斜めにしないように気を付けながら歩いたことが、余計に襟子の肩だけでなく全身に負担をかけていたのである。

 

 襟子は一人でレストランにも喫茶店にもラーメン屋にだって入ることができる。専業主婦の友人には不思議がられるのだが、襟子はそのことにたいして違和感を持ったことがない。

 自立した女だと主張したいわけではないが、一人で何でもできる。たとえ「お一人様」でなくてもそれは同じです誰かに依存して生きている女とは違うという自負我あった。

 最近の自分は、自分で自分を上手くコントロールできているのではないかなと、幾分ポジティブになってきた自分に、夕闇にはまだ早い夏の終わりの夕日の眩しさが拍車をかける。

 その日も、なんのこだわりもなく当然の成り行きで、こうして駅のホームを見渡せる開放的なティーラウンジ弟一人で席を取ったのだった。

 COVID19の影響で、座席は半分しか稼働しておらず、大きな荷物を持った襟子は、隣の席にバッグとペーパーバッグを置いて、ゆったりと過ごすことができた。

 

 駅には様々な人たちが忙しそうに行き交っている。家族、友人、旅行者、学生、サラリーマン、そして恋人たち・・。

 襟子はアイスコーヒーのストローを噛みながら、人間ウォッチングをするのが好きだった。土曜日の夕方ゆえにホームには行楽帰りのハイテンションな集団が多かっが、襟子と同じく土曜出勤の会社帰りの少々疲れた男女の姿も数多く見受けられた。

 いつの間にかメイクが落ちかけている。特に暑さでため汗を拭った眉の辺りが怪しい。

 襟子バッグ身だしなみには細心の注意を払っていた。仕事柄でもあるが、いつどこで誰に会うかもわからない。何かの折りに自分の名前が出た時、見苦しい印象を与えるのは死んでも避けたいことだ?

(意外に自分は自己顕示欲が強い人間なのかもしれない…。)

 精神的に脆いところのある人間だと自覚があった襟子は、そんな風にリラックスしている自分が可愛かった。襟子は普段はけっしてしないが、スーツのボタンを外し、ブラウスの襟もはだけた。片方のパンプスも半分脱いで足の指にぶら下げた。

 

 襟子がまだ大学生の頃、仲間内の誰もが襟子と付き合っていると認めていたはずの彼が、別の女性とこのラウンジに来たところにばったり出くわしたことがある。

 丁度その時も、こんな風に靴を(その時はサンダルだったが)半分脱ぎかけていた。そんな、ふと気を許した隙を突かれたような事件だった。

 まさかその時、そこに彼が現れようとは、予想も予感もしていなかった襟子は、はじめは偶然の出会いに小躍りしそうになった。襟子がストローを噛むのをやめて、一口冷たいコーヒーを飲み込んだその瞬間だった・・。

☕️☕️☕️☕️☕️☕️

 

 今回は、この辺りにさせていただきます🙋。続きは次回のブログで是非ご覧ください💐。次回は、ショッキングな第二章のクライマックスです😆。お楽しみに👀。芹沢マリリンでした🎵