No.70 実は私、小説も書いてます❗その5

 昨日、とうとう私にもワクチン予診表が市役所から届きました!勇んでかかりつけ医に電話したところ、「ワクチン接種のご案内」というのが届いてから電話してくださいとのこと😓。

 65歳の夫の時はもっとシンプルに予約ができたらしいですが、私はそうはいかなかったようです😥。夫の場合でも予約してから、1ヵ月後の予約でしたから、私の場合はいつになるかわかりませんね😪。

 最後の頼みの綱のワクチンに人々がどれだけ期待していたかという予想もできていなかったようで、早くもワクチンは品切れ😱。

 大規模接種も企業内接種も、現在予約済み分が終了したら、しばらく中止になってしまいました。政府は、全くどこまで想像力が欠如しているんでしょう💦。

 ワクチンをうちたくても在庫がないんですからどうしようもない💦どうして早急に必要分を手にいれ供給する準備をしていなかったのでしょう⁉️

 他国に輸出するほど確保している国もあるのに、先進国であるはすの日本が、オリンピック、パラリンピックをどうしてもやるといっている日本が、なぜこんな状態なんでしょうか⁉️理解に苦しみます😥。

 今まで、医学の研究分野に国をあげて取り組んで来なかったこと、病院や保健所などの医療機関への国の援助や施作が充分でなかったことのツケでしょうか…。

 未来を展望した政策ではなく、目先の利益の追求ばかり重視してきたからでしょうか…。

 東京の新規感染者がまた微妙に増えてきています。感染力の強い変異株が次々と現れてきています…。明るい兆しの見えるニュースはいつになったら聞けるのでしょうか✨。

 

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 今日は夕方に豪雨になりました。雷も鳴って天候は不安定です。それでは、今回も私の小説「刹那~襟子」にしばらくお付きあいください🙋。

 第二章「ホーム」の続きです。非日常を味わっていただけたら嬉しいです😆🎵🎵。

 

 第二章 「ホーム」前回の続き

 まさかその時、そこに彼が現れようとは、予想も予感もしていなかった襟子は、始め偶然の出会いに小躍りしそうになった。襟子がストローをかむのを止めて、一口冷たいコーヒーを飲み込んだその瞬間だった。

 ラウンジに入ってきた彼と一瞬にして視線が交差したこと微笑もうと襟子の顔の筋肉が動き出す寸前に、それは凍りついたのだった。

 彼は一人ではなかった。彼の優しい左手は、いつも横にいた襟子の腰に自然に添えられていたその左手は(大学生にしては落ち着いたそういう仕草を彼はよくしていた)、隣に寄り添う、襟子も知っている同じ大学の後輩の女の子の細い腰にあった。

 彼は、襟子よりも美人で襟子よりも若く、襟子よりも可愛らしい仕草を自然とできてしまう、あざとい?彼女と二人、どこから見ても楽しそうな、幸せそうな、絵になる恋人同士の図を描いていたのだった。

 襟子が視線をそらしたのと、彼に一瞬遅れて、新しい彼女が襟子に気づくのがほぼ同時だった。実際には見ていないはずなのに、その時の彼女の鋭い視線を、襟子ははっきり感じていた。

 と同時に、彼の方を見て、言葉など要らないとばかり、黙って視線を交わす、優越感に溢れたその瞳の動きまで、襟子は見たような気がした。👀👀👀👀👀

 

 彼らは踵を返し、静かに出ていった。襟子はここが喧騒の中のざわめいた駅のラウンジであることに安堵した。薄暗い落ち着いたレストランや喫茶店だったら、自分はいたたまれなかったことだろう。

 ウェイトレスでさえ気づかないほどの短い時間に、二人はその場から消えていた。襟子の心臓は飛び出そうなほど脈打っていたが、顔も手も胸も、身体中が氷のように冷えきっていた。ただ冷たい汗だけが、その一瞬の出来事の確かな痕跡を残していた。

 

 その後、襟子は、サンダルを履き直すことも忘れ、しばらく動けずにいた。席をたって、またすぐ後にどこかで偶然会うなどという悪魔的な目には死んでも遭いたくなかった。

 しかし、襟子はすぐ後には、何日か落ち込んで泣いたりもしたが、結局彼と彼女がその後どうなったのか知らないまま、詮索することもなかった。意地だった。

 間もなく大学を卒業し、就職してからは振り返って考えたこともない。どちらも若かった。若いカップルにはよくあることだった。

 今となってはほんの少しの痛みこそあれ、その時のように、彼や彼女を憎んだりすることもない。同じラウンジに同じように一人でいても、リラックスした姿勢で居ることができるのだ。時の流れというものは、傷ついた人間にとって、本当に優しい・・。💐

 

 珍しく過去の記憶を振り返りながらも、ゆとりさえ感じられた襟子の身に、1時間後まさかそんなことが起きようとは・・。その時の襟子は、その兆しにさえ気づくはずもなかった。

 ラウンジから出た襟子は、1時間後は自宅までの最寄り駅に向かう電車のホームにいた。まだ夜と言うほど暗くはなっていないが、一様に帰宅する人たちの群れが、いくつものドアを表すラインの後ろに二列の帯をなしていた。

 土曜日の夕暮れ時でもあるので、遊び盛りの若者たちや家族連れも多く、帰宅ラッシュ時のサラリーマンばかりの整然とした無言の統率は取りきれていなかった。

 そのささやかな喧騒が、どことなく柔らかな雰囲気を醸し出してさえいたのである。

 

 快速電車がホームを通過するアナウンスが流れた。この駅には、急行は停まるが快速は停まらない。サラリーマンらしき男性が、一瞬見ていた新聞から顔を上げたが、すぐにまた紙面に目を落とした。その時だった。別の男性の声がホーム中に響いた。 

「おじさん!危ない!」

男性は、もう一人の年配の男性の左腕を掴み(掴めたのは服の袖だけだったかもしれない)、力任せにホームの奥に向かって引き戻した。

 その勢いによろけた年配の男性は、そのまま体勢を立て直せず奥のベンチに崩れるように座りこんだ・・。引き戻した若い方の男性も、その横に座る。

 たいしたざわめきが起こることもなく、周囲の乗客は何が起こったのかを瞬時に悟った。近くの人と小声で話す人もいたが、多くの人たちは無言で、見るともなく二人の男性に視線を絡めたり、その気配を背中に感じているだけだった。

 襟子も、見てはいけないものを見てしまった人のように、並んだ場所を動くことはせず、意識だけを二人の男性に集中させた。

 一目瞭然だった。ふらりと体を線路に投げ出しそうになった年配の男性を、若い方の男性が助けたのだ。線路に飛び込もうとするほどの勢いがあったわけではなかったが、ベンチにうずくまる男性の様子を見ると、やはり自殺しようとしたことに間違いはないようだ。

 危なかった。もう少しで人身事故を目の当たりにするところだった。・・というより、一人の人間が、なんの理由かわからないが、その人生に終止符を打とうとしていたのだ。すぐ近くで。

 「死」はやはり間近にあった。襟子は鼓動が早くなるのを抑えようと、肩にかけていた鞄を胸に抱え直して強く抱きしめた。

 出勤時のニュースで交通情報が流れ、

「○○線□□駅にて、人身事故のため、上下線とも現在運行を中止しています。」

という報道があると、

(誰かがまた電車に飛び込んだのね。死んだ人には悪いけど、こんな時間に迷惑だなぁ…。)

と、一人の人間の命が失われたにもかかわらず、不謹慎にもそう思ってしまう。また、

(リストラかいじめか、きっと大変なことがあったんだろうけど、なにも死ななくてもいいのに…。)

(電車を停めるとすごく多額の賠償金を払わされるらしい。残された人たちが困るだろうなぁ…。)

などと、襟子は傍観者よろしく家族と話したものだった。多くの関係のない人たちはそう思うのではないだろうか。その時の命の価値は、あまりにも軽い・・。

 

 年配の男性は、ベンチに体を折り畳むようにしてうつむいている。隣に座った若い方の男性は、何やら一生懸命小声で話しかけている。

 しかし、年配の男性は聞いているのか聞いていないのか、微動だにしない。若い男性が、ぐっと顔を近づけて必死になって諭そうとしているようにも見える。

 知り合いなのだろうか。もしも、初対面の人だとしたら、なんて思いやり深い人なのだろう。今の世の中、自分のことで精一杯が普通である。なるべくならややこしいことには関わりたくないというのが本音だ。

 襟子は自分よりも若いその男性を尊敬の面持ちで、それとなく経緯をうかがっていた。

 数分が過ぎて、襟子の前に並んでいた人たちは先に来た普通電車に乗り込み、前には誰も並んでいなかった。襟子は次の急行に乗るのだ。

 ホームにアナウンスが鳴り響いた。🚃🚃🚃🚃🚃🚃

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 今回はここまでにします。続きは次回に。また読んでくださいね🌆🌆🌆🌆🌆 芹沢マリリンでした🎵