No.74 実は私、小説も書いてます❗その9

 東京の新規感染者が、昨日は1000人を越え、今日は1300人を越えました。ニュースでは、何度か見た不気味なカーブを描いて、危機が迫っているのを感じます🌃。

 乗り越えたはずの韓国や、タイが大変なことになっているようですし、インドネシアもインドとみまごうほどの状況らしいです💦。

 コロナは手強いですね、本当に。マスクの必要のない社会は、いったいいつ来るのでしょうか😓。海外旅行に行ける日は、私の足腰が元気なうちに訪れるのでしょうか・・。

 私の2回目のワクチンは8月1日に接種の予定です。が、多くのワクチン接種を望む人が、政府の不備のために打てない状況が続いています。

 どうしてこんなに上手くいかないのでしょう・・。どこかに状況分析の甘さや誤りがあるのでしょう。立派な方々が、この先進国日本を動かしているはずなのに、信頼できる政府には程遠いように私は思います😥。

 医療逼迫はなんとしても避けてほしいです。もうすぐ始まるオリンピック・パラリンピックを、日本はどうやって乗り越えていくのでしょうか。

 「日本国民」を「中国国民」と言い間違えるような人が会長を務めるIOCと、どうやって手を携えていくのでしょうか・・。今日は疑問符ばかりの文章になってしまいました💦💦。

 

🌆🌇🌌🌃✨

 さて、今回も私の小説の続きをご覧いただきます。非日常を味わってくださいませ😃。

  「刹那~襟子」 第三章 叙情的恋愛

 「彼と逢っている時間より、待っている時間の方が、ずっと幸せ・・。」 

と語る繭子の表情に、きっと何度もあったであろう彼との修羅場が、かすかに影を落とすのを、襟子は見逃さなかった・・。

「これからどうしたいわけでもないの。今のままでいいの。ただ、離れられないの。ひと月にたった1日、数時間彼に逢うために、私は息をしているの・・。」

そう言い切る彼女を、寧ろ羨望と言っていい思いを含む眼差しで見つめながら、襟子は、頷くより他に、どんな言葉も見つけることができなかった。

 

 その会話から一年半が過ぎ、襟子も繭子も部署が変わった。同じオフィスビルではない別の社屋に繭子の部署が移転してからは(繭子は主任として栄転して行った)、彼女からの連絡は二、三度のご機嫌伺いの後、いつの間にか途絶えた。

 襟子は、今まで通り淡々と着実に家事や子育てと仕事を両立させ、間もなく五十の声を聞こうとしていた。

 そんなある日突然、繭子の夫から、彼女がいなくなったと連絡が来たのだ。妻の行方に心当たりはないか?と言う。襟子にとってそれは、全く想定外のことだった。

 あろうことか、不倫相手と出奔したのだと言う。襟子は耳を疑った。

「そんな馬鹿な・・。」

それほどに唐突な、あり得ない、しかし、紛れもない事実だった。

 クールでドライで契約的な不倫・・と思っていた繭子は、夫も子どもも、家も仕事も、日常の生活さえも捨てて何処かに行ってしまい、行方不明になってしまった。

 相手の男性も同様で、ほんの少しの手持ちの金銭と、少しの着替えだけを持って、誰にも何も言わす家を出たらしい。

 思いがけない二人の行動に、襟子は完全にうろたえてしまった。

 更に、なぜ繭子の夫が、襟子に連絡をしてきたのかを聞いた時には、耳を疑うしかなかった。

 実は繭子は相手の男と、別に部屋を借りていたらしく、そこを引き払いに行きたいが、置き手紙の中に

「不躾で失礼なのは承知の上で、どうか襟子さんにお願いしてください。」

と、書いてあったというのだ。

 襟子が驚いたのは、繭子の出奔よりも、彼女の夫が思ったほど取り乱していなかったことだ。遠からず、こんな日が訪れることを予感していたような素振りであった。

 やはり、知っていたのだ。いや、知られたから逃げたのか、そのあたりを確かめる術はない。

 しかし、自分が繭子たちのことをある程度知っていたこと、知っていたが何も行動に移さなかったことが、彼女の夫に知られてしまうことにもなったが、そのことを責める言葉は、ついに一度も彼の口から発せられることはなかった。

 

 襟子は繭子に頼まれたからではなく、今では小学生と中学生になった二人の子どもを置いていかれた彼女の夫のために、その夫に見せないために、1人で出かけていくことにした。

 無論、相手の男の褄はそれどころではないだろう。しかし、その部屋に行かないとは言いきれない。ゆえに、少しでも早くそこを引き払い、全て捨て去り、何も痕跡を残さないようにしたい。

 どちらのためにも、せめて二人の愛の巣を、白日のもとに晒さないようにしなくてはと、その日のうちに襟子は取るものもとりあえず、急いで駆けつけるのだった。

 

 その部屋は、二人の家からは少し離れているが。職場からはさほど遠くない、襟子も何度か通ったことのある道を路地に入り込んだ一画に、ひっそりと存在していた。

 独身者が住むようなワンルームのアパートだ。新しくはないがそう古くもなく、紅い煉瓦の門扉のある小綺麗な建物だった。

 管理人には事情が伝わっていたらしく、すぐに鍵をもらって二階の端のその部屋に入ることができた。

 狭い玄関スペースに靴を脱ぎ、部屋に上がった途端、襟子は一歩も動けなくなってしまった。そこには、紛れもない二人だけの愛し合うためだけの世界が、まるで夢のように、しかし確実に存在していたからである。

 

 およそ、生活感というものを感じられるものはなかった。かろうじてキッチンに、どこにでもあるガラスのコップが二つ並んでいただけだった。

 窓には遮光カーテンもなく、薄いレースの真新しいカーテンがかかっているだけで、外の風景をうっすらと幻のように映し出しているのだった。

 家具という類は何もなく、小さなおもちゃのようなガラステーブルと、小さな冷蔵庫があったが、中には缶ビールが二本入っているだけだった。

 そして、ワンルームの真ん中を占領していたのは、やはり、羽毛の豪華な、しかしシンプルなダークブラウン一色のカバーのかかったダブルサイズの寝具だった。

 

 彼らは、愛し合うため、それだけのためにこの部屋を借りたのだ。新しい生活を始めたいわけでもなければ、居心地のいい部屋にしたいわけでもなかった。

 ただひたすら、愛し合えればそれで良かったのだ。ただひたすら愛し合えれば・・。

 休日の昼間は明るい陽の光の中で。仕事を終えた後なら、互いの家に帰る前のほんのひとときを、この部屋でただ愛し合うためだけに、彼らは上気した顔をしてこの部屋に来たのだ。おそらくは一人ずつ、示し合わせて・・。

 先に来た方は階段を上がって来る愛しい人の足音を、今か今かと待っていただろう。愛する人が玄関を開けた途端、驚喜し駆け寄ったのだろうか。

 それとも、平静を装い、身動きせずじっと見つめ合ったのだろうか。

 そして、必ずやってくる別れの時、どんなにか幸せな、しかし限られた刹那の愛に、彼らは身をよじられるような苦しい思いをしたことだろう。

 それはもう、誰にも止めることなできない、運命的な逢瀬だったに違いない。そして、とうとう彼ら自身にも止められなくなってしまったのだ・・。

 どちらかが帰るのをためらったのか、何かもっと大きな動揺や修羅場があったのか、あるいは全く何事もない平穏のうちに、どちらからということもなく互いに無言でそう決めたのか、襟子には推し量る術はなかった。

 襟子は深く溜め息をついた。彼らはこれからどうするのだろう。いつかは帰って来るのだろうか。滅多なことはしないだろうが、いったい何処に行ってしまったのだろう。

 二人はいつまで一緒にいられるだろうか。二人が全く同じ量の思いの熱量を持ち続けることは果たして可能だろうか。襟子は、彼らの行く末には、普通の常識人として懐疑的にならざるをえなかった。

 非常識な結末を選んでしまった二人は、いつか自らの行動の影響を冷静に捉える時期が来るだろう。そして、遠からず彼らは失敗する。

 襟子は、彼らが決して悪い人間ではないことを知っているだけに、運命に抗えず流されていく二人のこれからを思うと胸が詰まった・・。

 

🎇✨🌠🌌🌃🌆🌇

 今回はここまでにさせていただきます。次回は、繭子の視点からの描写に移ります。

 次の第四章は、タイトルが「濃厚接触」。・・そう、コロナ禍がテーマです。ご期待くださいませ☀️。

芹沢マリリンでした🎵