No.23「『山口百恵』伝説から神話へ」そして…その4

 とうとうこのテーマも最後の日を迎えてしまいました。感無量😭!悔いのないように、言いたいことを全て表現できたらいいなあ…と思います。

 「山口百恵」のファンの人もそうでない人も、もう一回どうぞお付き合いくださいませ🙋。

 

1,なぜ今「山口百恵」か❓→前前々回で済み

2,なぜ「山口百恵」は引退したのか❓

    →前前々回で済み

3,「山口百恵」の楽曲から見えるもの→前回で済み

4,「山口百恵」のテレビドラマから見えるもの

    →今回はここからです。

5,「山口百恵」の映画から見えるもの

6,雑感

 

4,「山口百恵」のテレビドラマから見えるもの

 デビューして3年後、高校一年の時にテレビドラマが始まりました。その時間には、たとえ何があっても聞こえないふりをし、テレビの前に陣取りました😄。

 なにせ、同い年の芸能人の演じる恋愛ドラマですから、自己投影したりのめり込むのも早いのです。

 次の日のクラスでの百恵談義はもちろんリーダーシップをとり、来週分のストーリーの予想を、シナリオライターのごとくまくし立てていたのでした(笑)。

 断っておきますが、私は言いたいことの半分も言えないタイプで(笑)、単なるおしゃべりではありません。当時から、リサーチをしっかりしていて、実力で百恵談義を仕切っていたのです(笑)。

 

 ドラマの相手役は、もちろんほとんどが三浦友和(「赤い迷路」にはあの松田優作が出演していました)。また、宇津井健三國連太郎というそうそうたる俳優陣が、脇を固めていました。

 ただ、共演した女優さんを全く覚えていません。やっぱり「山口百恵」しか見ていなかったようです(笑)。

 それは、女同士の闘いとか軋轢とかいじめとかのテーマでは全くなく、ひたすら運命に抗い、恋愛を成就させるというストーリーゆえでしょう。

 

「赤い迷路」1974🔴

赤い疑惑」1975🔴

「赤い運命」1976🔴

赤い衝撃」1977🔴

赤い絆」1977🔴

赤い死線」1978🔴

 

 最も印象に残っているのが「赤い疑惑」です。研究室の事故で図らずも白血病になってしまう主人公と、彼女を支える恋人という設定です💜。

 よくある病気を介する悲恋ドラマですが、二人の演技が若々しくて爽やかで、可哀想な場面では、しょっちゅう泣いていました😭。

 もう1つが、「赤い運命」。伊勢湾台風の影響で子供の取り違えが起こり、引き裂かれた父と娘の運命を描いた、ラブストーリーとは異なる本格的サスペンスドラマです💥。

 父親役の三國連太郎の演技の凄さと、「山口百恵」本人の演技力が高く評価され、注目を浴びました❗ 

 「赤い疑惑」とはあまりにも異なった雰囲気に最初は戸惑いながらも、また違った彼女の魅力を知った思いがして夢中になりました。もう一度ゆっくり見直してみたいドラマです🙆。

 

5,「山口百恵」の映画から見えるもの

 テレビドラマがヒットしてすぐ、映画も次々と公開されました。もちろん相手役はほとんどが三浦友和。最初は、文芸作品を題材にしたものが多かったのですが(🔵の映画は、文芸作品小説を原作にしたもの)、交際発覚後は、現代ものも撮られました。

 後に彼女は、自身の著書「蒼い時」の中で、「交際宣言をした後は、やはりラブシーンが照れくさかった」と可愛らしいことを言っていました💖。

 一年に二本以上の主演映画を撮っていました。今でもこんなスター⭐は稀でしょう。またいかに二人が長い時間を一緒に過ごしていたかがわかりますね(笑)💜

 

伊豆の踊子」原作 川端康成🔵 1975

→露天風呂から素っ裸で書生さんに手を振る場面が注目の的でした!踊子の子供っぽい無邪気さ、純粋さを表現する場面なのですが…。

絶唱」原作 大江賢治🔵

→出だしの、死んだ花嫁を人力車で山あいの村に運ぶ場面が、ものすごく美しい!ただ、こんなシチュエーションってありですかね?

潮騒」原作 三島由紀夫🔵

→もちろん、下帯だけの友和さんが、焚き火を飛び越えて来る場面です!似たような場面が「北の国から 初恋」にもありました。

春琴抄」原作 谷崎潤一郎🔵 1976

→佐助まで、自ら眼を針で突いて失明したら、春琴お嬢様の世話がしにくくなるのではないかと思うのですが…。究極の愛情表現でしょうか。耽美主義ですね。

風立ちぬ」原作 堀辰雄🔵

→郊外の療養所を、サナトリウムというのをこの映画で知りました。

「霧の旗」原作 松本清張🔵 1977

松本清張のサスペンスを、都会的に鋭角に映画化されていました。今までの文芸作品と時代も異なるので、雰囲気が、ガラリと変わりました!

「泥だらけの純情」原作 藤原審爾🔵

→生きている世界のあまりに異なる二人の純愛物語。彼女が、白いメンズライクなシャツを、衿をたてて着ている姿が、たまらなくカッコいい!

「振り向けば愛」1978

→かの有名な大林宣彦監督の映画。初めてのベッドシーンが話題になりました。

「炎の舞」原作 加茂菖子🔵

→見逃しています。DVD借りてきて観ます。

「天使を誘惑」原作 高橋三千綱 1979

→交際宣言後の映画。踏切で止めた車の中でのキスシーンにびっくり!

「ホワイト・ラブ」

→楽しそうな、本当の恋人同士の海外ロケを、ぼう~っと観ていた感じ(笑)。シナリオは、公募されました。蛇足ですが、ホテルのドレッサーのテーブルの上に、当時彼女がCMしていたエメロンシャンプーとリンスが、さりげなく(笑)置いてあるのを見てちょっと笑えました。

「古都」原作 川端康成🔵 1980

→最後に選んだテーマが「古都」だったとは。原点回帰ということでしょうか。川端康成で始まり、川端康成で終わる…誰かのこだわりでしょうか。

 

 「山口百恵」の映画には、小説を題材にしたものが多く、特に最初の方は、超有名作家の文芸大作を映画化しています。なぜ文芸作品を原作にしたのか、そこはよく語られる点です。

 「山口百恵」が古風なイメージだった訳ではありません。寧ろ時代の最先端を行っていました。そういう彼女の歌とのギャップに話題性を持たせようとした。これが一つの要因だと思います💐。

 また、格調高い作品を原作にすることで、彼女の雰囲気に、古風で格調高いという別のステイタスをプラスしようとしたのかもしれません。

 併せて、彼女には、現代的な面と古風な面の両方が備わっていることを、百恵プロジェクトチームは充分理解し、その多様性を前面に押し出そうとしたのでしょう。例を挙げれば、「プレイバック」と「秋桜」を歌い分けることができる逸材だということを映画でも示したかったのだと私は思います🌺。

  更に、名作は多くの人にとって既知のものですから、彼女が主演でどのような映画になるのかという、単純な興味も湧いたはずです。彼女のファンでなくても映画館に足を運ぶことでしょう❇️。

 とにかく企画大賞です(笑)❗彼女は、優秀なプロジェクトチームにフォローされていました。それは、チームが優秀というよりも、彼女自身が、そういう人たちが集まってくるほどの逸材だったということです❗🎊。

 

6,雑感

 実は、この項に私の思い入れが最も強く込められています。彼女について話したいことの中で、今までの項目では語りきれなかったことを、二人のシーン別にまとめてみました。

 

◆ラストコンサート

【衣装】

 ラストコンサートで彼女が着用した衣装は次の4点でした。

●メタリックなパニエを重ねたドレスと同じメタリックの髪飾り→ライトに映えて様々な色に変化し、とても可愛らしい印象でした🌼。

●真っ赤なパンツルックに赤い羽根の髪飾り→ダンス中に髪飾りが取れてしまうというハプニングがありましたが、ダンサーの人がいつの間にか片付けていました🌺。

●青いスレンダードレスと青いラメの花の髪飾り→しっとりとした後半の歌にぴったりで、特にヘアドレスがものすごく似合っていました💠。

ベアトップの白いウェディングドレスを思わせるドレスに、白いカスミソウの花束の髪飾り→ベアトップとは肩の大きく開いたスッキリしたデザインで、今ではウェディングドレスの定番となっています。

 彼女が着てから、20年後、つまり今から20年前ぐらいから、ウェディングドレスとして大流行しています。彼女は、流行の最先端というか、随分な先取りでした🌸。

 

【ヘアースタイル】

 ラストコンサートの時の彼女のカーリーヘアは、頭頂部を残して柔らかなカーリーにするもので、片方のサイドをヘアピンで留めると、落ち着いた上品なカーリーヘアになります。

 大学生だった私も美容院で「百恵ちゃんのようなカーリーヘアにしてください。」とお願いしてパーマを当ててもらったら、美容師さんが「よくお似合いです!」と言ってくれました(営業上の社交辞令ですが)。

 もちろん片サイドをシルバーのヘアピンで留めて、大学に行ったらちょっとざわついたかな(笑)。

 

 その後彼女は、カーリーヘアを、結婚式の後すぐにバッサリ切ってショートヘアになり、明くる日、身軽になって新婚旅行に出かけて行きました💖。

 いつも彼女のヘアカットを担当していた美容師さんを、夜自宅に呼んで切ってもらったらしいです。さすがです❗美容師さんも感無量だったとか…。

 

 彼女のヘアスタイルを真似るだけでなく、彼女がサンダルではなくパンプス👠ばかり履くと私もパンプスを履く(足が痛いのに)、一事が万事、彼女は一ファンの私だけではなく、そういう時代を牽引していたのです🙋。

 蛇足になりますが、マネできなかったのは、濃紺のビキニ👙。真っ黒ではないところが彼女らしいです。形も当時流行っていた形ではなく、ごくシンプルな三角ビキニでしたが、他のアイドルたちの派手なビキニより目立っていました!

 確かにあのビキニ以上に彼女に似合う水着が思い当たりません!自分というものをしっかり客観的に見られる人だから、自分に最もよく似合うものを本当によく知っているのでしょう。

 

【白いマイク🎤】

 ラストコンサートに関して、最後にお話するのは、彼女がステージに残して行った、あの白いマイクの行方です。

 何かで読んだのですが、あのマイクは彼女にプレゼントされ、彼女の家のリビングの硝子ケースの中に入れてあったそうです。

 そのプレミアもののマイクを、何も知らない彼女の子どもさんたちが、幼い頃おもちゃにして遊んでいたとか…。

 三浦家の子どもは男の子が二人です(もうどちらも結婚され、立派に独立されています)。兄の祐太朗さんは彼女そっくり(話し方まで)。歌手で彼女の曲もカバーしています。弟の貴大さんはお父さん似で、俳優として大変活躍されています。

 その二人が遊んでいた白いマイク、彼女はそれを静かにステージに置いて、階段を上って行きました。

「私のわがまま、許してくれてありがとう。幸せになります。」

その言葉の後、最後の歌を歌い終えて、彼女は上って行きました。その姿はまるで「神」のよう。そして二度と振り返らず、天上を表す白いスモークの中へと消えて行きました。

 

◆結婚式

 1980年10月5日、日本武道館でラストコンサートが行われてからしばらくして、11月19日二人の結婚式が教会で執り行われました⛪。

 式を終えて教会から出てきた二人に向けられたフラッシュの嵐、数分間にわたってずっと続いた、そのフラッシュの数の多さを、私は今でも覚えています🌟。それ以上のフラッシュを、それ以前も以降も、私は見たことがありません❗

 

【衣装】

 高貴で清楚で且つ華やかな白い胡蝶蘭のヘアドレスが印象的でした。ドレスは、シスターを思わせる胸元のドレープが清楚な、直線裁ちのシンプルなドレスで、やはり「神」をイメージしてしまいました!

 他にも文金高島田の豪華な振り袖やピンクのカクテルドレスも着たそうですが、やはりこの白いウェディングドレスが印象的です!

 彼女は、ドラマや映画で何度も様々な振り袖やドレスを着ていますから、自分の本番は、彼女が本当に着たいものを選んだのだと思います。

「彼女が本当に望んでいたのは、こういうドレスだったんだ。さすが…。」と私は明確に納得しました!彼女らしいと思います!

 彼女と同じ白い胡蝶蘭の髪飾りが、当時とても流行りました。私の友人の一人は、そのままそっくりのヘアドレスを自分で作って結婚式で身に付けました❗

 

【プロポーズの言葉】

 友和さんのプロポーズの言葉は、「結婚するからそのつもりで。」だったらしいと何かで読みました。その言葉が、当時、プロポーズの言葉としてよく使われたそうです。

 また、彼女がコンサートの最後で観客に向かって言った最後の言葉、「私のわがまま、許してくれてありがとう。幸せになります。」のフレーズが、結婚式の花嫁から両親への感謝の言葉でよく使われたという話も聞きました。

 ファンたちも彼らと前後して、結婚について深く考えるようになったというのは事実だと思います。若いカップルの結婚自体が、彼らの結婚をきっかけにして増えたという説もあります。憧れが現実になったのですから。つまりそれは、芸能界だけでなく社会現象だったという訳です。それほどの大ニュースだったのです❗

 

【蒼い時】

 彼女の手記「蒼い時」の初版本📘を、もちろん私は持っています。今では文庫本にもなっています。

 その中に、彼女直筆の原稿のコピーが一部付いているのですが、それがとても達筆で(21歳の若い女性には珍しいと私は思うのですが)、美しく意思の強そうな文字なんです。寧ろ男性的な。彼女らしい字だなぁ…と私は納得しました。性格は、文字に出るのですね。

 「あお」という字には、「蒼」以外にも「青」「碧」などがあります。彼女は敢えて「蒼」を選びました。「蒼」は草木が生い茂る様子を表す文字なので、グリーンっぽいブルーです。「蒼い時」の表紙カバーの上半分にある色です。

(ちなみに、奇才エドワード・ゴーリーにも「蒼い時」という、またまた難解な物語がありますが、その本の表紙の色は、まさしく「青」です。)

 

 さて、このブログのタイトルに戻ります。「『山口百恵』伝説から神話へ」…これは彼女のラストコンサートのテーマで、記念LPのカバーに印字されていた文字です。当時このテーマをつけた時の意味を私なりに考えてみました。

「彼女は、ラストコンサートを終えて引退したら、二度と芸能界に戻ってくることはない。ゆえに、彼女のような素晴らしい歌手がいたことは、何年何十年も後には、「伝説」となって語り伝えられることになるだろう。」…と。

 更に、「『山口百恵』という歌手と全く同じ時を生きてさえいない人間にも、その影響は及ぶだろう。ならば、それはもはや過去の「伝説」ではなく、「神」の域に達している🌟。

 世代を超えて、彼女を思い、彼女を振り返り、見ることもできない彼女と共に生きていこうとする人々が数限りなく生まれて来るだろう…。」

…そのような予言めいたものを感じます🙆。

 今、彼女のことをほとんど知らない若い人たちが、彼女の歌をカラオケで歌い、全く古さを感じさせない歌に驚き、カラオケのMVで流れる彼女自身の姿や衣装や歌い方に憧れ、そして、時代を超えて、これから先も歌い続けていくのでしょう。彼女は、永遠に時代のトレンドであり続けるのです❗

 

 「山口百恵」のレポートを完成させた思いです(笑)!

今までいつかやりたいと思っていたことをやりきって、一仕事終えた感じです💧。

次の第24回目は、

  「『麒麟が来る』大河ドラマの魅力❗」

  第25回目は、

  「海外に行けないなら、沖縄へ行こう❗」を予定しています。時節柄、少し順番を変えました。長谷川博己の第ファンです(笑)❗彼、セクシーですよね☺️❗

芹沢マリリンでした🎵