No.86「護られなかった者たちへ」を観ました❗

 先週末、「護られなかった者たちへ」という映画を観ました。瀬々敬久監督の映画です。ずっと放映を待っていました🙋。

 東日本大震災から9年後が舞台です。あの未曾有の災害がようやくドキュメンタリーではなく、映画として表現される時期がきました。

 原子力発電所の被害や、そこで働く人たちの映画は少し前に放映されましたが、社会の片隅に追いやられていた弱い立場の人たちの震災後の姿にスポットを当て、容赦なく描いた映画は、私は観たことがありませんでした。

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 震災後、独り暮らしの老女と、両親を失くした少女、津波に飲まれていく少年を助けられなかったことがトラウマとなって、社会に馴染めなくなり犯罪者となってしまった青年が出会い、小さな家で肩を寄せあって生活することになります。

 少女はのちに養女となって心ある家族にもらわれていき、青年は自立します。再び独りになった老女は、食べるにも事欠くようになり衰弱していきます。

 その様子を知った二人は、老女に生活保護を受けさせようと、役所に連れて行きますが、役所も激務の中で余裕がなく、手続きも思うようにいきません。

 老女は、「お国のお世話になるのは申し訳ない。」と固辞しました。それでも、生活保護は必要な人には権利なんだと青年が説得し、一旦は申し出が通ります。

 ところが、生活保護を受けるには、親戚などの身内に、本当に保護が必要なのか問い合わせが必要なのです。老女は、幼い頃に養女に出して、親子の名乗りもしていない娘に自分のことが知られて、迷惑をかけるのは絶対に避けたいと、生活保護を辞退してしまいます。

 それからしばらくして、なんと老女は餓死してしまうのです。そこから、復讐劇が始まってしまうのですが、なんとも胸の詰まるストーリーでした・・・。

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 役所の人が悪いわけでも、老女が悪いわけでも、青年が悪いわけでもありません。強いて言えば、弱い立場の人たちに行き届かない、社会の仕組みに問題があるのだと思います。

 ストーリーの流れには「えっ?」と思うところもなきにしもあらずですが、そういうところにスポットを当てたという点で、この映画は素晴らしいと私は思います。

 生活保護の身内調査に関しては、ずっと前から違和感を感じていました。その調査をしなければ、不正受給が増えるのかも知れませんが、その調査があるかぎり、受けたい人が受けられない状況はなくならないだろうと思ったからです。

 東日本大震災後だけでなく、コロナ禍でも、生活が困窮している人は大勢います。年輩の人だけでなく、若い人でも、無料の食品配布の列にたくさんの人たちが並びました。

 日本の社会は、そういう人たちに優しい社会でなくてはならないと思います。日々の生活の困窮や命の危機にこそ敏感に反応する社会であってほしいと思うのです。

 これから新しい生活を始めようとしている若者や、一生懸命勉強している学生さんたち、無邪気に遊ぶ子どもたちに対して、社会は弱い立場の人に優しいんだと、社会の未来は明るいんだと、自信を持って伝えられる大人でありたいと思っています。

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 この映画は、俳優陣も素晴らしかったです!主演の阿部寛はもちろんのこと、脇を固めた賠償美津子を始め、緒方直人や永山瑛大、吉岡秀隆もさすがの味を出して好演でした。

 そして、この映画を観た理由の一つでもある、佐藤健が本当に良かった❗私は彼のファンで「るろうに剣心」は全部観ました❗私の中では「たける」の映画は一応全部観ないといけないことになっているのです(笑)😄 

 今度も「たけるを観なくちゃ!」と思って出かけたのです(笑)😆。有名な泥水を飲むシーンも凄かったですが、最初のシーンからの彼の首の角度に驚きました❗    拗ねたような、世の中からはみ出たような、社会に対して斜に構えたような彼の思いは、全て一目瞭然、彼の前傾した首の角度に如実に表現されていたのです‼️

 やはり「たける」は凄い役者でした🎵これからも、彼から目を離せなさそうです(笑)😁(ただし、逃亡して走るシーンに、「るろうに剣心」で見せた運動神経の良さが出過ぎていたかも・・(笑))。

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  コロナ禍を描いたドキュメンタリー映画ができたことを、今日の夕刊で知りました!TV番組やニュースでは何度も放映されていましたが、とうとうドキュメンタリーですが映画として封切られました!

 宮崎伸恵監督の「終わりの見えない闘いー新型コロナ感染症と保健所」という、コロナ禍の保健所を主な舞台にしたドキュメンタリー映画です❗

 待っていました!いつかこの2年間のコロナ禍が映画になるはずだと・・・。

 周知のごとく、緊急事態宣言下で保健所の業務は逼迫していました。数年かけて、政治が保健所を統廃合し、減らしてきた弊害が、はからずもこのコロナ禍で顕在化したのです。

 何度も何度もニュースで取り上げられ、特にこの第5波では、入院させるか否か、延命措置をするか否かという、命に直結する判断まで委ねられたこともあった保健所の様子を目にしました。

 そして、そんな過酷な状況の中で、保健所の方々は献身的に「終わりの見えない闘い」に取り組まれました。そこから見えてくるものを私は感じてみたいのです。

 まだミニシアターでの上映ですが、機会を作って是非観に行きたいと思います。

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   ドキュメンタリーではなくストーリーとしてコロナ禍を描いた映画が出来上がるまでには、まだもう少し時間がかかるでしょうか。

 以前ブログで、まるでコロナ禍の予言のような、2つの映画のことを紹介しました。一つは小松左京原作の「復活の日」。もう一つは「コンディション」というアメリカの映画です。

 どちらも、コロナ禍が起こる前から、私の深層心理にしっかり根付いていた映画です。「復活の日」においては、もう40年近く前の映画です。

 それにも関わらず、コロナ禍が始まったとたん、脳裏に浮かびました❗書店に「ペスト」と並んで原作が平積みされ出したのは、それからうんと後のことです。思わず「私ってスゴイわ!」と自画自賛したくらいです😃。

 「コンディション」に至っては、TSUTAYAで数年前に発掘し、何となく観て知っていた映画です!YouTubeやネットフリックスでもだいぶ騒がれましたから、観られた方も多いと思いますが、びっくりするほどこの間の2年間のコロナ禍の様相とそっくりです❗

 感染の原因から感染爆発までの経過、消毒や3密を避けるなどの予防策、ワクチンを巡る問題など、本当に監督は預言者としか思えません💦。

 あまりにも現在の状況と酷似しているので、恐ろしいくらいです。唯一、もっと描き込んで欲しかったのが(どこから目線?)医療現場の大変さでした。

 コロナ禍は、現在は新規感染者が減って、医療崩壊の声もあまり聞かれなくなってきましたが、死者はやはり毎日出ており、後遺症に悩む人も後を絶ちません。

 私たちの生活も大きく変わり、もはやコロナ前には完全には戻れないでしょう💦。マスクのない生活はもう戻って来ないかもしれません。

 医療関係者の一部には、年末年始の人流の影響で、また一万人を越す感染者が出るかも知れないと警鐘を鳴らす人もいます。

 この間のコロナ禍の2年間は、当然映画になってもおかしくない、様々なドラマが展開されました。悲惨な状況ももちろんありますが、後世に遺すべき人間の強さや素晴らしさも、数限りないエピソードとして語り継ぐべき日を待っていることと思うのです。

 辛い経験をされた多くの方々には、こんな言い方は申し訳ないとは思いますが、やはり映画というメディアを使って、広く語り継ぐべきことだと私は思うのです。

 あと何年かかるかわかりませんが、それが社会に出る日を心待ちにしたいと思います。心に刻まなくてはならない、けっして忘れてはならない、歴史の一コマとして私たちの目の前に出現する日を。

芹沢マリリンでした🎵