No.66 私、実は小説も書いてます❗

 ほぼ1ヵ月、ブロを更新できずにいました😅。生活の激変もあり、社会の遅すぎる変化もあり、ようやく次のステージに向かうことができたようです🙋。

 今までのブログでも述べたことがありますが、私はものを書くのが好きです❤️。ブログはもちろんその一つですし、実際に2冊の本📕を出版したりもしました。

 1昨年から書き始め、昨年の5月にエッセイの「おばさんの海外旅行 あるあるエピソード集」を、また7月には本職である教職のマニュアル集「(若い)先生たちへの応援BOOK」を出版しました❗🙆

 その後、小説にも手を伸ばして、今回紹介させて頂く小説を書きました!そして、かの有名な「文學界」の新人作家コンクールに応募しました🎵。

 残念ながら、いやはやもちろんというべきですが(笑)賞には届かす、世間様に知られる機会がなかったため、今回オープンにすることができるようになりました(笑)

 私の拙い作品ですが、自分なりに丹精込めて書きましたので、どうしても世間に発信したいのです。素人の小説ですが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです❗😆🎵🎵

……………………

   刹那~『襟子』

  第一章 交差点

 交差点で右折レーンに入った襟子はブレーキを踏んで車を一時停止させた。何台もの直進者が通りすぎる。いつもこの交差点は混んでいるから慣れている。

 一台のバイクが襟子の斜め後ろに付く。襟子はバックミラーとサイドミラーで素早く確認する。最近よく見かけるUber Eatsの宅配車だ。

 十台ほどの乗用車が、襟子の右サイドをかすかな振動とかすかな風圧を残して通り過ぎ、次にトラックが前方から近づいた。右折可のブルーの矢印はまだ出ない。しかし間もなくだろう。

 

 トラックは信号の変わる前にとスピードを上げて、襟子の車の横を通りすぎようとした。トラックの後ろには遠くまで車の姿は見えないから右折のチャンスだ。

 トラックが横をかすめる。襟子がブレーキペダルから足を外しアクセルに踏み換える。その瞬間だった。襟子の左側を後ろのバイクが右折しようと急発進した。

 襟子がかろうじて急ブレーキを踏む。襟子の車と同時かそれより早く右折しようとしたバイクが、トラックの後ろにいたもう一台の小型バイクに気づいた。

 小型バイクの運転手が気づいて右を見る。すかさず直進するため寧ろスピードを上げる。右折するバイクが急ブレーキを踏み、速度を落としたために不自然で奇妙な揺れ方をしたのを襟子は瞳の端で捉えた。

 その刹那、直進する小型バイクとそのバイクが、ほんの紙一重の差で交差した。小型バイクの運転者は右折するバイクの方を一瞥したように思ったが、瞬く間に視界から外れていく。

 タイヤが地面と摩擦しておこる火花を見たように思ったが、接触はしなかったと見えて、双方ともそのまま通り過ぎた。小型バイクに乗っていたのも若者だった。十代の少年だったかもしれない。

 

 それは一瞬のことだった。バイクの若者の若さゆえの無謀な行為を、またその若さゆえの反射神経で間一髪のところで回避した瞬間だった。

 どちらかが襟子なら、また襟子の車が同じように急発進していたら、間違いなく死んでいた。死んでいたのは一人?二人?いや三人かも知れない。

🎇🎇🎇🎇

 襟子は、自らの恐怖心に無理やら蓋をし、交差点をなんとか通り抜けた。早鐘のように打つ心臓の音を感じながら、それでも無意識に手足をロボットのごとく動かし、幸運にもすぐに見つかったコンビニの駐車場にかろうじて車を乗り入れることができた。

 しばらくの間、襟子は震えを抑えられなかった。襟子の脳裏には、現実とは異なる映像が次から次へとカメラのフラッシュを焚いたように断片的に現れた。

 自分の車がバイクに接触。フロントグラスが粉々に砕け散る。バイクは車のフロント部分に乗り上げ、反動でもう一台のバイクに衝突。

 バイクに乗っていた二人の若者は何メートルも先にはね飛ばされて落ちる。地面に倒れ込む。ヘルメットが割ける。若者の体はあり得ない方向に歪む。

 ガラスの破片とバイクの部品が飛び散る。二人の若者の血しぶきが白っぽいアスファルトにいく筋もの流れを作る。

 自分はダッシュボードに顔を強打しかけるがエアバッグにせき止められる。軽自動車の前部は原形を留めず大破する。

 衝撃音、悲鳴、遠くから近づく救急車のサイレン…。はね飛ばされた若者の体が地面に落ちるドスンという鈍い音まで、襟子は聞いたような気がする。

 ハンドルに頭を押し付けたままの姿勢で、襟子はしばらく動けずにいた。次第に現実が戻って来ると、そこには数分前と寸分違わぬ平穏な日常の時間が流れているのだった。

 こういう時、大抵の人は「あぁ良かった、事故にならなくて本当に良かった…。」と胸を撫で下ろすのだろう。しかし、襟子は違った。

 …一瞬なのだ。ほんの刹那の出来事なのだ。しかし、そのほんの何十分の一秒かの違いで、人生は大きく変わってしまう。いや、その人生そのものがなくなってしまうこともあるのだ。

 襟子は恐ろしかった。恐ろしくてたまらなかった。自分は、いや人間は、いつ死ぬかもわからない。次の瞬間に何が起こるかさえわからないのだ。事故が稀有な出来事なのではなくて、今生きていることこそが、寧ろ稀有なことなのではないだろうか……。

 

 襟子は精神に破綻がきている病人ではない。鬱でもない。ごく平凡な四十代の既婚者である。仕事もしている。特に心配ごとがあるとかネガティブ志向の人間でもない。

 しかし、ふとした時に、襟子の心に「刹那」の二文字が影を落とすのである。全ては一瞬によって決まる。良くも悪くも…。

 少しずつ落ち着いてきた襟子は、とにかく帰宅するためにエンジンをスタートさせた。薄闇が迫る時刻だ。街にはちらほらと灯りも点り始めた。平静を装いながら襟子は車を走らせる。

 こんなことが、今までの人生の中に幾度かあった。一瞬の判断や状況の違いで人生が変わるようなことが…。あまりに平和な街の灯りの中を帰宅の途につきながら、割れてはいないフロントグラスに映っては後ろへ流れる夕暮れの景色に、遠い昔の光景が二重写しのように重なって見えてくるのだった……。

🌄🌇🌃🎇🎇🎇

 

 襟子が小学生の頃の夏、海水浴場の賑わいが聞こえる。…………………………

 

✨🌠今回はここまでにして、続きは次回に回したいと思います。私の小説「刹那~『襟子』」は第四章「濃厚接触」まで、まだまだ続きます。是非、続きも読んでくださいね❗

 昨年9月末にコンクールに出品してから8ヶ月。読み返すこともなく本棚の片隅の箱に入れたままにしてあった原稿を、改めてブログにするために読んでみました🙋。

 自分の書いたものは自分の分身のようなもの。愛おしいです😌💓 芹沢マリリンでした🎵